事業用買換えの所有期間_所得税


今回は、所得税の事業用買換えの所有期間について確認します。

所有期間10年超

個人が一定の条件を満たす資産を売却した場合、
譲渡利益を繰り延べる特例(課税の繰延べ)があり、
条件の1つに所有期間10年超があります。

所有期間10年超の規定を確認します。

四 国内にある土地等、建物又は構築物で、当該個人により取得をされたこれらの資産のうちその譲渡の日の属する年の一月一日において所有期間が十年を超えるもの

租税特別措置法37条

所有期間は、譲渡の日の属する年の1月1日で判定します。
法人税の規定と違って、所得税では「譲渡の日の属する年の1月1日」と
先に規定されています。

法人税と同様に、「所有期間」は、別のところで定義されています。

所有期間(第三十一条第二項に規定する所有期間をいう。第四号及び第五項において同じ。)

租税特別措置法37条1項1号

31条2項は、長期譲渡所得の課税の特例です。

2 前項に規定する所有期間とは、当該個人がその譲渡をした土地等又は建物等をその取得(建設を含む。)をした日の翌日から引き続き所有していた期間として政令で定める期間をいう。

租税特別措置法31条

政令

2 法第三十一条第二項に規定する政令で定める期間は、当該個人が同条第一項に規定する譲渡をした同項に規定する土地等又は建物等(次項において「土地等又は建物等」という。)をその取得(建設を含む。次項において同じ。)をした日の翌日から引き続き所有していた期間とする。

租税特別措置法施行令20条

細かく規定されていますが、法人税と同様に
「取得日の翌日」から引き続き所有していた期間が、
特例を判定するときの「所有期間」となります。

法人税と一緒とほとんど一緒と思っていましたが、
意外な落とし穴?が

所有期間の特例

所得税の事業用買換えの特例については、
所有期間が5年以下である土地等の譲渡については、使用できません。

5 第一項(前二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、その年一月一日において所有期間が五年以下である土地等(その年中に取得をした土地等で政令で定めるものを含む。)の譲渡(第二十八条の四第三項各号に掲げる土地等の譲渡に該当することにつき財務省令で定めるところにより証明がされたものを除く。)については、適用しない。

租税特別措置法37条

原則として使用できませんが、次の規定で上記の規定は停止されています。

所有期間の特例の停止

12 第五項の規定は、個人が平成十年一月一日から令和五年三月三十一日までの間にした土地等の譲渡については、適用しない。

租税特別措置法37条

所有期間10年超の要件がある資産と要件がない資産があって、
他の規定との兼ね合いで、上記のような規定になっているのでしょうね。

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