事業用資産の買換特例の再計算


今回は、事業用資産の買換特例の再計算を確認してみましょう。

買換資産を事業供用しない場合

事業用資産の買換特例については、
買換資産(取得資産)を事業に使用する必要があります。

何らかの事情で供用期限(取得日から1年以内)までに、
・事業に使用しない場合
・事業に使用していたが使用しなくなった場合は、
事業用資産の買換特例が認められなくなります。

この場合は、供用期限から4月以内に修正申告が必要となります。

見積額と実際の取得価額とに差額がある場合

事業用資産の買換特例については、
売却年に買換資産を取得しなくても見積りで計算可能です。

見積りで計算した金額と実際の取得金額とに差額がある場合は、
確定申告の再計算となります。

1、見積りの取得金額<実際の取得金額の場合
更正の請求(税金の還付を求める手続き等)が可能です。

更正の請求の期限は、
買換資産の取得日から4月以内となります。

2、見積りの取得価額>実際の取得金額の場合
修正申告(税金の追加納付)が必要です。

修正申告の期限は、
買換資産の取得日から4月以内となります。

事業用資産を取得しない場合(見積り計算した場合)

事業用資産を取得期限までに取得しなかった場合や、
供用期限までに事業に使用しない場合は、修正申告が必要となります。

修正申告の期限は、
それぞれの事情が生じた日から4月以内です。

参考規定

供用期限までに事業供用しない場合の修正申告

第三十七条の二 前条第一項の規定の適用を受けた者は、買換資産の取得をした日から一年以内に、当該買換資産を同項の表の各号の下欄に規定する地域内にある当該個人の事業の用に供しない場合又は供しなくなつた場合には、これらの事情に該当することとなつた日から四月以内に同項の譲渡をした日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し、かつ、当該期限内に当該申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならない。

租税特別措置法第37条の2第1項、施行日令和5年10月1日

規定を整理してみましょう。

前条(第37条)第1項の規定の適用を受けた者は、
買換資産の取得をした日から1年以内に、
当該買換資産を同項(第1項)の表の各号の下欄に規定する
地域内にある当該個人の事業の用に
・供しない場合又は
・供しなくなつた場合
には、

これらの事情に該当することとなつた日から4月以内に
同項(第1項)の譲渡をした日の属する年分の所得税についての
修正申告書を提出し、かつ、当該期限内に当該申告書の提出により
納付すべき税額を納付しなければならない。

見積額による買換特例の更正の請求と修正申告など

2 前条第四項において準用する同条第一項の規定の適用を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、第一号に該当する場合で過大となつたときにあつては、当該買換資産の取得をした日から四月以内に同条第四項の譲渡をした日の属する年分の所得税についての更正の請求をすることができるものとし、同号に該当する場合で不足額を生ずることとなつたとき、又は第二号に該当するときにあつては、当該買換資産の取得をした日又は同号に該当する事情が生じた日から四月以内に同項の譲渡をした日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し、かつ、当該期限内に当該申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならないものとする。
一 前条第一項の表の各号の下欄に掲げる資産の取得をした場合において、その取得価額が同条第四項において準用する同条第一項に規定する取得価額の見積額に対して過不足額があるとき、又はその買換資産の地域が同条第四項の地域と異なることとなつたこと、その買換資産(同表の第三号に係るものに限る。以下この号において同じ。)の同条第十項各号に掲げる地域の区分が、同条第四項の取得をし、事業の用に供する見込みであつた資産の当該各号に掲げる地域の区分と異なることとなつたこと若しくはその買換資産が同条第十項に規定する主たる事務所資産に該当するかどうかの判定が、同条第四項の取得をし、事業の用に供する見込みであつた資産の当該判定と異なることとなつたことにより同条第一項に規定する譲渡があつたものとされる部分の金額に過不足額があるとき。
二 取得指定期間内に前条第一項の表の各号の下欄に掲げる資産の取得をせず、又は同条第四項の取得の日から一年以内に、買換資産を同項の事業の用に供せず、若しくは供しなくなつた場合

租税特別措置法第37条の2第2項、施行日令和5年10月1日

規定を整理してみましょう。

前条(第37条)第4項において準用する
同条(第37条)第1項の規定の適用を受けた者は、

次の各号のいずれかに該当する場合には、
第1号に該当する場合で過大となつたときにあつては、
当該買換資産の取得をした日から4月以内に
同条(第37条)第4項の譲渡をした日の属する年分の
所得税についての更正の請求をすることができるものとし、

同号(第1号)に該当する場合で不足額を生ずることとなつたとき、又は
第2号に該当するときにあつては、
・当該買換資産の取得をした日又は
・同号(第2号)に該当する事情が生じた日
から4月以内に同項(第4項)の譲渡をした日の属する年分の
所得税についての修正申告書を提出し、かつ、当該期限内に
当該申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならないものとする。

1号、前条(第37条)第1項の表の各号の下欄に掲げる資産の取得をした場合において、その取得価額が同条(第37条)第4項において準用する同条(第37条)第1項に規定する取得価額の見積額に対して過不足額があるとき、又は
その買換資産の地域が同条第4項の地域と異なることとなつたこと、
その買換資産(同表の第三号に係るものに限る。以下この号において同じ。)の同条(第37条)第10項各号に掲げる地域の区分が、
同条(第37条)第4項の取得をし、
事業の用に供する見込みであつた資産の
当該各号に掲げる地域の区分と異なることとなつたこと若しくは
その買換資産が同条(第37条)第10項に規定する
主たる事務所資産に該当するかどうかの判定が、
同条(第37条)第4項の取得をし、
事業の用に供する見込みであつた資産の当該判定と
異なることとなつたことにより
同条(第37条)第1項に規定する譲渡があつたものとされる部分の金額に
過不足額があるとき


1号
・買換資産を取得した。
・見積額と実際の取得価額とに過不足あり
(見積<実際の場合は過大となり、更正の請求)
(見積>実際の場合は不足となり、修正申告)
又は
・地域が異なる。
・第10項の地域区分が異なる。
・第10項の主たる事務所資産の判定が異なる
上記3つの事由により譲渡があったものとされる部分に過不足があるとき。
(売却した部分が過少で、再計算により売却した部分が増える。)

2号、取得指定期間内に前条(第37条)第1項の表の各号の下欄に掲げる資産の取得をせず、又は同条(第37条)第4項の取得の日から1年以内に、買換資産を同項の事業の用に供せず、若しくは供しなくなつた場合

2号
・買換資産を取得しない場合
・取得日から1年以内に事業供用しない場合


修正申告しない場合の更正

3 第一項若しくは前項第二号の規定に該当する場合又は同項第一号に規定する不足額を生ずることとなつた場合において、修正申告書の提出がないときは、納税地の所轄税務署長は、当該申告書に記載すべきであつた所得金額、所得税の額その他の事項につき国税通則法第二十四条又は第二十六条の規定による更正を行う。

租税特別措置法第37条の2第3項、施行日令和5年10月1日

規定を整理してみましょう。

第1項若しくは前項(第2項)第2号の規定に該当する場合又は
同項(第2項)第1号に規定する不足額を生ずることとなつた場合において、

修正申告書の提出がないときは、納税地の所轄税務署長は、
当該申告書に記載すべきであつた
・所得金額、
・所得税の額
・その他の事項
につき国税通則法第24条又は第26条の規定による更正を行う。

→ 第1項は譲渡+取得を満たして、事業供用を満たさず。
→ 第2項第2号は取得見込みで計算したが、取得しない、事業供用を満たさず。
→ 第2項第1号は取得見込みで計算したが、金額が多すぎた。


国税通則法の取扱い

4 第三十三条の五第三項の規定は、第一項又は第二項の規定による修正申告書及び前項の更正について準用する。この場合において、同条第三項第一号及び第二号中「第一項に規定する提出期限」とあるのは「第三十七条の二第一項又は第二項に規定する提出期限」と、同号中「第三十三条の五第一項」とあるのは「第三十七条の二第一項又は第二項」と読み替えるものとする。

租税特別措置法第37条の2第4項、施行日令和5年10月1日

規定を整理してみましょう。

第33条の5第3項の規定は、
第1項又は第2項の規定による
修正申告書及び前項(第3項)の更正について準用する。

この場合において、同条(第33条の5)第3項第1号及び第2号中「第一項に規定する提出期限」とあるのは「第三十七条の二第一項又は第二項に規定する提出期限」と、同号中「第三十三条の五第一項」とあるのは「第三十七条の二第一項又は第二項」と読み替えるものとする。

→ 第33条の5第3項の規定は、
収用交換等に伴い代替資産を取得した場合の更正の請求、修正申告等

読替後

3 第一項の規定による修正申告書及び前項の更正に対する国税通則法の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 当該修正申告書で第三十七条の二第一項又は第二項に規定する提出期限内に提出されたものについては、国税通則法第二十条の規定を適用する場合を除き、これを同法第十七条第二項に規定する期限内申告書とみなす。
二 当該修正申告書で第三十七条の二第一項又は第二項に規定する提出期限後に提出されたもの及び当該更正については、国税通則法第二章から第七章までの規定中「法定申告期限」とあり、及び「法定納期限」とあるのは「租税特別措置法第三十七条の二第一項又は第二項に規定する修正申告書の提出期限」と、同法第六十一条第一項第一号中「期限内申告書」とあるのは「租税特別措置法第二条第一項第十号に規定する確定申告書」と、同条第二項中「期限内申告書又は期限後申告書」とあるのは「租税特別措置法第三十七条の二第一項又は第二項の規定による修正申告書」と、同法第六十五条第一項、第三項第二号及び第四項第二号中「期限内申告書」とあるのは「租税特別措置法第二条第一項第十号に規定する確定申告書」とする。
三 国税通則法第六十一条第一項第二号及び第六十六条の規定は、前号に規定する修正申告書及び更正には、適用しない。

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