事業用資産の買換特例の対象資産と面積制限


今回は、事業用資産の買換特例の対象資産と面積制限を確認してみましょう。

譲渡資産

譲渡資産は4つ規定されていますが、
今回は3号買換えの譲渡資産(一般的なもの)を確認したいと思います。

3号買換えの譲渡資産は、次の3つを満たすものです。

1、国内にあるもの
2、土地等、建物、構築物
3、上記資産の譲渡年の1/1において所有期間が10年超

買換資産

3号買換えの買換資産は、次の2つを満たすものです。

1、国内にあるもの
2、土地等、建物、構築物

土地等の細かい条件を確認してみましょう。

1、特定施設の敷地の用に供されるもので、300㎡以上であること。
2、駐車場の用に供されるもので、300㎡以上であること。

特定施設とは、
事務所、工場、作業場、研究所、営業所、店舗、倉庫、住宅
その他これらに類する施設をいいます。
(ただし、福利厚生施設を除きます。)

特定施設に係る事業遂行上必要な駐車場用の敷地も対象となります。

やむを得ない事情(参考規定は後述)がある場合は、
建物、構築物の敷地の用に供しないで、
駐車場の用に供するものも対象となります。
(事情なく駐車場の用にのみ要するものは対象外)

買換資産の面積制限

買換資産については、
面積の制限(譲渡資産の面積×5)が設けられています。
広すぎる土地等は買換資産から除外されます。

例えば、次の場合で確認してみましょう。
・譲渡資産の面積 300㎡
・買換資産の面積 1600㎡

1、買換資産の面積制限
300㎡(譲渡資産の面積)×5=1500㎡

2、判定
面積制限1500㎡<買換資産の面積1600㎡ → 面積制限に該当する。
1600㎡-1500㎡(面積制限)=100㎡は買換資産から除外されます。

参考規定など

譲渡資産

三 国内にある土地等、建物又は構築物で、当該個人により取得をされたこれらの資産のうちその譲渡の日の属する年の一月一日において所有期間(第三十一条第二項に規定する所有期間をいう。第五項において同じ。)が十年を超えるもの

租税特別措置法第37条第1項第3号、譲渡資産、施行日令和5年10月1日

買換資産

国内にある土地等(事務所、事業所その他の政令で定める施設(以下この号において「特定施設」という。)の敷地の用に供されるもの(当該特定施設に係る事業の遂行上必要な駐車場の用に供されるものを含む。)又は駐車場の用に供されるもの(建物又は構築物の敷地の用に供されていないことについて政令で定めるやむを得ない事情があるものに限る。)で、その面積が三百平方メートル以上のものに限る。)、建物又は構築物

租税特別措置法第37条第1項第3号、買換資産、施行日令和5年10月1日

規定を整理してみましょう。


国内にある土地等(注1)、建物又は構築物

注1、事務所、事業所その他の政令で定める施設(注1-1)の
敷地の用に供されるもの(注1-2)又は
駐車場の用に供されるもの(注1-3)
で、その面積が300㎡以上のものに限る。

注1-1、以下この号において「特定施設」という。

注1-2、当該特定施設に係る事業の遂行上
必要な駐車場の用に供されるものを含む。

注1-3、建物又は構築物の敷地の用に供されていないことについて
政令で定めるやむを得ない事情があるものに限る。

→ 「限る」は、駐車場の用に対しての限定

特定施設の定義

10 法第三十七条第一項の表の第三号の下欄に規定する政令で定める施設は、事務所、工場、作業場、研究所、営業所、店舗、倉庫、住宅その他これらに類する施設(福利厚生施設に該当するものを除く。)とする。

租税特別措置法施行令第25条第10項、施行日令和5年10月1日

やむを得ない事情

11 法第三十七条第一項の表の第三号の下欄に規定する政令で定めるやむを得ない事情は、次に掲げる手続その他の行為が進行中であることにつき財務省令で定める書類により明らかにされた事情とする。
一 都市計画法第二十九条第一項又は第二項の規定による許可の手続
二 建築基準法第六条第一項に規定する確認の手続
三 文化財保護法第九十三条第二項に規定する発掘調査
四 建築物の建築に関する条例の規定に基づく手続(建物又は構築物の敷地の用に供されていないことが当該手続を理由とするものであることにつき国土交通大臣が証明したものに限る。)

租税特別措置法施行令第25条第11項、施行日令和5年10月1日

財務省令で定める書類

第十八条の五 施行令第二十五条第十一項に規定する財務省令で定める書類は、次の各号に掲げる行為の区分に応じ当該各号に定める書類とする。
一 施行令第二十五条第十一項第一号に掲げる手続 同号に規定する許可に係る都市計画法第三十条第一項に規定する申請書の写し又は同法第三十二条第一項若しくは第二項に規定する協議に関する書類の写し
二 施行令第二十五条第十一項第二号に掲げる手続 同号に規定する確認に係る建築基準法第六条第一項に規定する申請書の写し
三 施行令第二十五条第十一項第三号に掲げる発掘調査 文化財保護法第九十三条第二項の規定による当該発掘調査の実施の指示に係る書類の写し
四 施行令第二十五条第十一項第四号に掲げる手続 国土交通大臣の同号の証明をしたことを証する書類の写し

租税特別措置法施行規則第18条の5第1項、施行日令和5年10月1日

買換資産の面積制限

2 前項の規定を適用する場合において、その年中の買換資産のうちに土地等があり、かつ、当該土地等をそれぞれ同項の表の各号の下欄ごとに区分をし、当該区分ごとに計算した当該土地等に係る面積が、当該年中において譲渡をした当該各号の上欄に掲げる土地等に係る面積を基礎として政令で定めるところにより計算した面積を超えるときは、同項の規定にかかわらず、当該買換資産である土地等のうちその超える部分の面積に対応するものは、同項の買換資産に該当しないものとする。

租税特別措置法第37条第2項、施行日令和5年10月1日

規定を整理してみましょう。

前項(第1項)の規定を適用する場合において、
その年中の買換資産のうちに土地等があり、かつ、
当該土地等をそれぞれ同項(第1項)の表の各号の下欄ごとに区分をし、
当該区分ごとに計算した当該土地等に係る面積が、

当該年中において譲渡をした
当該各号の上欄に掲げる土地等に係る面積を基礎として
政令で定めるところにより計算した面積を超えるときは、

同項の規定にかかわらず、当該買換資産である土地等のうち
その超える部分の面積に対応するものは、
同項の買換資産に該当しないものとする。

面積制限は、譲渡資産の面積×5

14 法第三十七条第二項に規定する政令で定めるところにより計算した面積は、譲渡資産である土地等に係る面積に五を乗じて計算した面積とする。

租税特別措置法施行令第25条第14項、施行日令和5年10月1日
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