事業用資産の資産損失


今回は、所得税の事業用資産の資産損失を確認します。

内容

所得税の損失規定は、別段の定めです。
基本的なところは法人税と変わりません。

対象となる所得区分は、
不動産所得、事業所得、山林所得の3つ。

雑所得は事業ではないため、別の規定で出てきます。

所法51条1項は、「事業」用固定資産の損失に関する規定です。
政令で定める資産は、繰延資産です。

対象となる事由は、取壊し、除却、滅失などで
特に理由は定められていませんが、
譲渡による損失は除外されています。
譲渡所得で計算するからです。

受け取った保険金の取扱い

損失を補填するための保険金や損害賠償金を受け取った場合は、
損失の金額から保険金等をマイナスします。

損失1000 - 保険金等800 = 残りの損失200
を必要経費に算入します。

受け取った保険金を損失からマイナスしますので、
法人税の保険金等の圧縮記帳(課税の繰延べ)はありません。

消費税の取扱い

受け取った保険金等については、対価性がないため、
消費税はかかりません。

参考規定

(資産損失の必要経費算入)
第五十一条 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

所得税法

(固定資産に準ずる資産の範囲)
第百四十条 法第五十一条第一項(資産損失の必要経費算入)に規定する政令で定める資産は、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に係る繰延資産のうちまだ必要経費に算入されていない部分とする。

所得税法施行令

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