今回は、交際費の定額控除限度額の手続きと
計算例について確認してみましょう。
一般の法人の場合(7項)
定額控除限度額(年800万円)については、
確定申告書等に別表の添付が必要です。
別表15、交際費等の損金算入に関する明細書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2022/pdf/15.pdf
株式会社の計算例
A株式会社、事業年度12月、資本金1億円
交際費2000万円、うち接待飲食費1500万円の場合
1、支出交際費
2000万円
2、支出接待飲食損金算入基準額
1500万円×50%=750万円
3、中小法人等の定額控除限度額
800万円×12月÷12月=800万円
4、損金算入限度額
2<3 ∴800万円
5、損金不算入額
1-4=1200万円
接待飲食費の金額が1600万円を超える場合は、
接待飲食費の50%基準>定額控除限度額800万円となるため
接待飲食費の50%基準が税額計算上有利になります。
通算法人の場合(5項)
グループ通算法人の場合は、全ての法人につき、
通算定額控除限度分配額の別表を
確定申告書等に添付する必要があります。
規定が複雑な理由は、親の事業年度と子の事業年度がずれる場合の内容と思います。グループ通算制度に入る前に事業年度を合わせておいた方が楽なのでしょうね。
別表15付表、通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2022/pdf/15-f.pdf
別表15付表の記載の仕方
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2022/pdf/15-f-ki.pdf
通算法人の計算例
親会社、事業年度12月、資本金1億円
交際費2000万円、うち接待飲食費1500万円
100%子会社、事業年度12月、資本金1000万円
交際費1000万円、うち接待飲食費400万円
親会社の計算
1、支出交際費
2000万円
2、支出接待飲食損金算入基準額(1項、原則)
1500万円×50%=750万円
3、中小法人等の定額控除限度額(2項、3項、例外)
1、親の交際費 2000万円
2、子の交際費 1000万円
3、合計交際費 3000万円
4、通算定額控除限度額 800万円×12月÷12月=800万円
5、通算定額控除限度分配額 4×1/3=5,333,333円
4、損金算入限度額
2>3 ∴750万円
5、損金不算入額
1-4=1250万円
子会社の計算
1、支出交際費
1000万円
2、支出接待飲食損金算入基準額(1項、原則)
300万円×50%=150万円
3、中小法人等の定額控除限度額(2項、3項、例外)
1、子の交際費 1000万円
2、親の交際費 2000万円
3、合計交際費 3000万円
4、通算定額控除限度額 800万円×12月÷12月=800万円
5、通算定額控除限度分配額 4×1/3=2,666,667円
4、損金算入限度額
2<3 ∴2,666,667円
5、損金不算入額
1-4=7,333,333円
留意点
1、通算定額控除限度額は交際費の比で按分しますが、
接待飲食費の50%については按分計算が不要です。
2、計算過程を見ると、親会社は接待飲食費50%基準、
子会社は定額控除限度額のように、異なる損金算入限度額を利用できます。
参考規定
定額控除限度額の手続き規定
5 第三項の通算法人の適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人(以下この項において「他の通算法人」という。)の同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額がある場合における当該適用年度に係る第二項の規定は、第七項の規定にかかわらず、当該交際費等の額を支出する他の通算法人の全てにつき、それぞれ同日に終了する事業年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合で、かつ、当該適用年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
租税特別措置法61条の4
7 第二項の規定は、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に同項に規定する定額控除限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。