令和6年度税制改正に関する法人税の法令解釈通達


今回は、令和6年度税制改正に関する
法人税の法令解釈通達を確認してみましょう。

第1 「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」通達関係
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/kaisei/231215/pdf/02.pdf

簡易課税制度が適用される課税期間を含む事業年度の仮払消費税等の額の特

令和6年度税制改正で、
・簡易課税制度
・2割特例制度
のいずれかを選択した事業者が、税抜経理を選択した場合、
継続適用を条件として、インボイス制度前と同様の仕訳処理が
可能となる予定です。

参考情報、令和6年度税制改正大綱

(11)簡易課税制度又は適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する事業者が、令和5年10 月1日以後に国内において行う課税仕入れについて、税抜経理方式を適用した場合の仮払消費税等として計上する金額につき、継続適用を条件として当該課税仕入れに係る支払対価の額に110 分の10(軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、108 分の8)を乗じた金額とすることが認められることを明確化するほか、消費税に係る経理処理方法について所要の見直しを行う。

令和6年度税制改正大綱、101ページ

仕訳で確認してみましょう。

経過措置の80%控除を適用する場合の仕訳例

借方貸方
経費等 102,000円現預金 110,000円
仮払消費税等 8,000円
経過措置80%の仕訳

改正後に適用できる仕訳例

借方貸方
経費等 100,000円現預金 110,000円
仮払消費税等 10,000円
改正後の取扱い

改正に関する法令解釈通達はこちら↓

(簡易課税制度が適用される課税期間を含む事業年度の仮払消費税等の額の特
例)
1の2 法人(消法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除)) の規定により消費税を納める義務が免除されるものを除く。以下3の2までにおいて同じ。)が、簡易課税制度(消法第 37 条第1項((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)) の規定を適用して消法第 45 条第1項第2号((課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告)) に掲げる課税標準額に対する消費税額から控除することができる仕入控除税額を算出する方法をいう。)が適用される課税期間を含む事業年度において、当該法人の行う取引に係る消費税等の経理処理について税抜経理方式によっている場合で、国内において行った消法第2条第1項第 12 号((定義)) に規定する課税仕入れ(特定課税仕入れを除く。)に係る支払対価の額に 110 分の 10(当該課税仕入れが他の者から受けた同項第9号の2に規定する軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、108 分の8)を乗じて算出した金額(当該金額に1円未満の端数が生じたときは、当該端数を切り捨て、又は四捨五入した後の金額)を当該課税仕入れに係る取引の対価の額と区分して経理をしているときは、継続適用を条件として、当該金額を仮払消費税等の額とすることができる。
(注) この取扱いの適用を受ける場合には、法人税に係る法令の規定及び通達の
定めの適用についても同様となることに留意する。

「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)

上記の特例を選択する場合は、
交際費や減価償却資産の判定についても
インボイス制度前と同様に取り扱うことができます。

上記の通達は簡易課税制度に関するもので、
2割特例制度に関するものは、経過的取扱い(2)で規定されています。
簡易課税制度と異なるところは、
仮払消費税の特例が適用できる期間です。
(2割特例制度は原則として4期間)

税抜経理方式と税込経理方式の選択適用

改正前通達では、免税事業者が対象から外れています。
免税事業者は、税抜経理が選択できないからです。

改正後通達では、「免税事業者を除く」の文言が消えています。
上記の新設通達の中で新たに「免税事業者を除く」と定義されているため、
税抜経理方式と税込経理方式の選択適用の内容については変更ありません。

控除される消費税額がない課税仕入れに係る消費税等の処理

改正後の基本通達を確認してみましょう。

(控除される消費税額がない課税仕入れに係る消費税等の処理)
14 の2 消法第2条第1項第 12 号((定義)) に規定する課税仕入れ(特定課税仕入れを除く。)のうち、消法令第 46 条第1項各号((課税仕入れに係る消費税額の計算)) に掲げる課税仕入れの区分に応じ当該各号に定める金額があるもの以外のものに係る取引について税抜経理方式で経理をしている場合(1の2((簡易課税制度が適用される課税期間を含む事業年度の仮払消費税等の額の特例)) の取扱いの適用を受ける場合を除く。)であっても、その取引の対価の額と区分して経理をした消費税等の額に相当する金額を当該課税仕入れに係る取引の対価の額に含めて法人税の課税所得金額を計算することに留意する。

「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」通達関係、改正後
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/kaisei/231215/pdf/02.pdf

控除される消費税がない課税仕入れについて
仮払消費税で仕訳処理した場合であっても、
仮払消費税がないものとして法人税の計算をする必要があります。

例えば、会計上仮払消費税等1万円を計上した場合であっても、

借方貸方
経費等 100,000円現預金 110,000円
仮払消費税等 10,000円
会計上の仕訳

法人税の計算上は、仮払消費税等は0円となります。

借方貸方
経費等 110,000円現預金 110,000円
仮払消費税等 0円
税務上の仕訳

改正前(現行)の取扱いの場合、
申告調整が必要となる場合があります。

通達の変更点は、カッコ書きの部分です。

税抜経理方式で経理をしている場合(1の2((簡易課税制度が適用される課税期間を含む事業年度の仮払消費税等の額の特例)) の取扱いの適用を受ける場合を除く。)

最初に確認した改正の特例を選択した場合は、
税務上と会計上の取扱いが一致するため、申告調整が不要となります。

税務上の仕訳例

借方貸方
経費等 100,000円現預金 110,000円
仮払消費税等 10,000円
特例を選択した場合の税務上の仕訳
適用時期

改正後の取扱いは、令和5年10月1日以後から適用されます。

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