今回は、仮装経理があった場合の更正の特例を確認してみましょう。
更正
更正は、
・計算に誤りがあった場合
・調査内容と異なっている場合
に税務署長が正しい金額に訂正するものです。
国税に関する一般的な取扱いのため、国税通則法に規定されています。更正は申告書の提出が前提となっていますので、申告書の提出がない場合は更正ではなく決定に変わります。
参考規定
(更正)
国税通則法第24条、令和7年4月1日施行
第二十四条 税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。
法人税の特例
法人税には更正に関する特例があります。確認してみましょう。
(更正に関する特例)
法人税法第129条第1項、令和7年4月1日施行
第百二十九条 内国法人の提出した確定申告書に記載された各事業年度の所得の金額が当該事業年度の課税標準とされるべき所得の金額を超えている場合において、その超える金額のうちに事実を仮装して経理したところに基づくものがあるときは、税務署長は、当該事業年度の所得に対する法人税につき、その内国法人が当該事業年度後の各事業年度において当該事実に係る修正の経理をし、かつ、当該修正の経理をした事業年度の確定申告書を提出するまでの間は、更正をしないことができる。
確定申告書に記載した所得の金額>正しい所得の金額の場合が1つ目の要件です。
例えば、
・確定申告書の記載した所得の金額 3500万円
・正しい所得の金額 0円
の場合、要件を満たします。
正しい所得の金額を超えている金額のうち、事実を仮装して経理したものが2つ目の要件です。
超えている金額の内訳が
・事実を仮装して経理した金額 3000万円
・単純な誤り 500万円
の場合、3000万円が特例の対象となります。
2つの要件を満たした場合、更正に2つの条件が追加されます。
2つの条件
1、事実について修正経理する。
2、修正経理をした内容の確定申告書を提出する。
条件を満たさない場合は、更正されない可能性があります。
更正通知書の記載内容
更正がある場合、更正通知書が送付されます。更正通知書の記載内容が定められています。
仮装経理があった場合の更正の特例については、更正通知書の記載内容が変わります。確認してみましょう。
2 税務署長が第百三十五条第一項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)の更正をする場合における国税通則法第二十八条第二項(更正又は決定の手続)の規定の適用については、同項第三号中「次に掲げる金額」とあるのは、「次に掲げる金額及びニ又はホに掲げる金額のうち法人税法第百三十五条第一項又は第二項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)の規定の適用がある金額」とする。
法人税法第129条第2項、令和7年4月1日施行
読み替えが必要となりますので。読み替えてみましょう。
2 更正通知書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。この場合において、その更正が前条の調査に基づくものであるときは、その旨を附記しなければならない。
三 その更正に係る次に掲げる金額及びニ又はホに掲げる金額のうち法人税法第百三十五条第一項又は第二項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)の規定の適用がある金額
イ その更正前の納付すべき税額がその更正により増加するときは、その増加する部分の税額
ロ その更正前の還付金の額に相当する税額がその更正により減少するときは、その減少する部分の税額
ハ 純損失の繰戻し等による還付金額に係る第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金があるときは、その還付加算金のうちロに掲げる税額に対応する部分の金額
ニ その更正前の納付すべき税額がその更正により減少するときは、その減少する部分の税額
ホ その更正前の還付金の額に相当する税額がその更正により増加するときは、その増加する部分の税額
ニ、法人税が減少する場合は、減少する税額
ホ、還付金が増加する場合は、増加する還付金
の2つが対象です。
法人税法第135条は、仮装経理があった場合の還付の特例です。本来還付されるものであっても、要件を満たすまでは還付されないと規定されています。
仮装経理があった場合の還付の特例に関係する税額や還付金がある場合、更正通知書に記載する必要があります。
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おまけ
更正に関する特例は法人税だけで、所得税や消費税にはありません。
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