仮装経理で余分に支払った法人税が還付される場合、5年経過したとき


今回は、仮装経理で余分に支払った法人税が還付される場合のうち、5年経過したときを確認してみましょう。

内容

仮装経理(粉飾決算など)で余分に支払った法人税については、要件を満たすまで還付されません。この要件の1つ、更正があったときから5年を経過した場合を確認してみましょう。
(参考規定は後半に記載しています。)

長い規定ですのでカッコ書きを外してみましょう。

3 第一項の規定の適用があつた内国法人(注1、「適用法人」)について、同項の更正の日の属する事業年度開始の日(注2)から五年を経過する日の属する事業年度の第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書の提出期限(注3、「最終申告期限」)が到来した場合(注4)には、税務署長は、当該適用法人に対し、当該更正に係る仮装経理法人税額(注5)を還付する。

第1項は、粉飾決算で余分に支払った法人税は原則として還付しないというものです。この規定の適用を受けた法人を「適用法人」といいます。

適用法人の最終申告期限が到来した場合は、仮装経理に対応する法人税が還付されます。

最終申告期限

税務署長が更正した日が含まれる事業年度が始まった日から、5年を経過する日が含まれる事業年度の確定申告書の提出期限を「最終申告期限」といいます。

例えば、事業年度が始まった日がX年4月1日の場合、5年を経過する日がX+5年3月31日となり、確定申告書の提出期限は、X+5年5月31日となります。

最終申告期限が到来した場合に法人税が還付されます。
(最終申告期限が到来するまでは法人税が還付されません。)

5年を経過する日が含まれる事業年度が終了する日までに一定の事実が生じた場合は、最終申告期限が変わります。

一定の事実は、次の4つです。
1、残余財産の確定
2、適格合併でない合併による解散
3、破産手続開始の決定による解散
4、普通法人や協同組合等が公益法人等に移行すること

上記4つの事実が生じた場合は、確定申告期限が変わりますので、併せて最終申告期限が変わります。

参考規定

最終申告期限が到来した場合は、仮装経理に対応する法人税が還付される。

3 第一項の規定の適用があつた内国法人(当該内国法人が適格合併により解散をした場合には、当該適格合併に係る合併法人。以下この条において「適用法人」という。)について、同項の更正の日の属する事業年度開始の日(当該更正が当該適格合併に係る被合併法人の各事業年度の所得に対する法人税について当該適格合併の日前にされたものである場合には、当該被合併法人の当該更正の日の属する事業年度開始の日)から五年を経過する日の属する事業年度の第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書の提出期限(当該更正の日から当該五年を経過する日の属する事業年度終了の日までの間に当該適用法人につき次の各号に掲げる事実が生じたときは、当該各号に定める提出期限。以下この項及び第八項において「最終申告期限」という。)が到来した場合(当該最終申告期限までに当該最終申告期限に係る申告書の提出がなかつた場合にあつては、当該申告書に係る期限後申告書の提出又は当該申告書に係る事業年度の法人税についての決定があつた場合)には、税務署長は、当該適用法人に対し、当該更正に係る仮装経理法人税額(既に前項、この項又は第七項の規定により還付すべきこととなつた金額及び第七十条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)の規定により控除された金額を除く。)を還付する。
一 残余財産が確定したこと その残余財産の確定の日の属する事業年度の第七十四条第一項の規定による申告書の提出期限
二 合併(適格合併を除く。)による解散をしたこと その合併の日の前日の属する事業年度の第七十四条第一項の規定による申告書の提出期限
三 破産手続開始の決定による解散をしたこと その破産手続開始の決定の日の属する事業年度の第七十四条第一項の規定による申告書の提出期限
四 普通法人又は協同組合等が公益法人等に該当することとなつたこと その該当することとなつた日の前日の属する事業年度の第七十四条第一項の規定による申告書の提出期限

法人税法第135条第3項、令和7年4月1日施行

注1、適用法人
当該内国法人が適格合併により解散をした場合には、当該適格合併に係る合併法人。以下この条において「適用法人」という。

粉飾決算を行った法人が適格合併により解散した場合は、還付対象が合併法人に変わります。

注2、当該更正が当該適格合併に係る被合併法人の各事業年度の所得に対する法人税について当該適格合併の日前にされたものである場合には、当該被合併法人の当該更正の日の属する事業年度開始の日

適格合併の日より前に更正された場合は、被合併法人の事業年度が始まった日から期間を計算します。

注3、最終申告期限
当該更正の日から当該五年を経過する日の属する事業年度終了の日までの間に当該適用法人につき次の各号に掲げる事実が生じたときは、当該各号に定める提出期限。以下この項及び第八項において「最終申告期限」という。

注4、当該最終申告期限までに当該最終申告期限に係る申告書の提出がなかつた場合にあつては、当該申告書に係る期限後申告書の提出又は当該申告書に係る事業年度の法人税についての決定があつた場合

確定申告書の提出がなかった場合は、最終申告期限の到来ではなく決定に変わります。

注5、既に前項、この項又は第七項の規定により還付すべきこととなつた金額及び第七十条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)の規定により控除された金額を除く。

・前項(第2項)、前期の確定法人税額がある場合の還付
・この項(第3項)、最終申告期限が到来した場合の還付
・第7項、還付請求書の提出
・第70条の控除

仮装経理に対応する法人税の還付等は、複数の規定があります。既に還付や控除したものについては、2重に還付しないという意味です。

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