今回は、仮装経理で余分に支払った法人税が還付される場合を確認してみましょう。
粉飾決算の法人税が還付される場合
法人税を余分に支払った場合、手続き(更正の請求)をすれば、法人税が還付されます。ただし、余分に支払った理由が粉飾決算であれば取扱いが変わります。
原則として、粉飾決算の修正を行った確定申告書を提出するまでは、法人税が還付されません。この取扱いにも例外があり、例外の要件を満たす場合は、法人税が還付されます。
規定を確認してみましょう。
参考規定は後半に掲載しています。
「前項に規定する場合」というのは、第1項の仮装経理した場合です。
「同項の内国法人(省略)の前項の更正の日の属する事業年度開始の日前一年以内に開始する各事業年度」は、一般的に更正があった事業年度の前期を指します。
前期の法人税で、更正の日の前日に確定しているものを「確定法人税額」といいます。前期の法人税について確定申告書を提出している場合です。
この場合は、
・仮装経理に関する法人税額(仮装経理法人税額)のうち
・確定法人税額に達するまでの金額
が還付されることになります。
例えば、次の場合
・仮装経理法人税額 200万円
・確定法人税額 150万円
少ない金額(仮装経理法人税額の一部)の150万円が還付されます。
残りの50万円については、他の要件を満たさないと還付されません。
反対に、次の場合は、
・仮装経理法人税額 150万円
・確定法人税額 300万円
少ない金額(仮装経理法人税額)の150万円が還付されます。
参考規定
前期の法人税が確定している場合は、仮装経理法人税額が還付される。
2 前項に規定する場合において、同項の内国法人(当該内国法人が同項の更正の日の前日までに適格合併により解散をした場合には、当該適格合併に係る合併法人。以下この項において同じ。)の前項の更正の日の属する事業年度開始の日前一年以内に開始する各事業年度の所得に対する法人税の額(附帯税の額を除く。)で当該更正の日の前日において確定しているもの(以下この項において「確定法人税額」という。)があるときは、税務署長は、その内国法人に対し、当該更正に係る仮装経理法人税額のうち当該確定法人税額(既にこの項の規定により還付をすべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)に達するまでの金額を還付する。
法人税法135条第2項、令和7年4月1日施行
おまけ
1つ目のカッコ書きの内容
粉飾決算した法人が更正の日の前日までに適格合併により解散している場合は、更正の対象が合併法人に変わります。
2つ目のカッコ書きの内容
1回目の計算で使用した金額については、2回目の計算で使用しないという意味です。