仮装経理として取り扱われる場合


今回は、仮装経理として取り扱われる場合を確認してみましょう。

内容

先に今回確認する規定を確認してみましょう。
(参考規定は後半に掲載しています。)

調査などで税金計算が違うことがわかった場合に税務署長がする手続きを「更正」といいます。「所得の金額を減少させる更正で」とありますので、法人税が減る場合の更正に限定されています。

「当該内国法人の当該各事業年度開始の日前に終了した事業年度の所得に対する法人税についてされた更正」については、粉飾決算をした法人の事業年度が始まる前に終了した事業年度(=前期以前)の所得に対する法人税についてされた更正という意味です。

この前期以前の更正を「原更正」といいます。

繋げて確認しますと
・当期の所得を減少させる更正で
・前期以前の更正(原更正)に伴うもの
を「反射的更正」といいます。

続きを確認してみましょう。

「当該反射的更正により減少する部分の所得の金額のうちに当該原更正に係る事業年度においてその事実を仮装して経理した金額に係るものがあるときは、」については、当期の減額更正の原因が過去の仮装経理にあるときは、という意味です。

この場合は、過去の仮装経理した金額をそれぞれ減額更正となる計算期間に仮装経理したものとして前各項の規定が適用されます。

前各項の規定は、次の4つです。
第1項、原則として仮装経理の法人税は還付されない。
第2項、前期に確定した法人税に達するまでは還付される。
第3項、最終申告期限(原則として5年)が到来した場合は還付される。
第4項、一定の事実が生じた場合は還付請求できる。

考え方

数字を使って確認してみましょう。

X年
実際の売上 10,000
申告した売上 2,000

X+1年
実際の売上 0
申告した売上 5,000

X+2年
実際の売上 0
申告した売上 3,000

X年の売上が多かったため、仮装経理により売上を過少に申告して法人税を少なく申告した。差額をX+1年とX+2年の売上として申告した。税務調査により3期間の更正があった。

X年の更正が原更正(増額の更正)、
X+1年とX+2年の更正が反射的更正(減額の更正)となります。

この場合、X+1年の5,000はX年ではなくX+1年に仮装経理したものとして、仮装経理の法人税の還付が制限されることになります。X+2年の3,000も同様です。

参考規定

仮装経理とみなされる場合

5 内国法人につきその各事業年度の所得の金額を減少させる更正で当該内国法人の当該各事業年度開始の日前に終了した事業年度の所得に対する法人税についてされた更正(当該内国法人を合併法人とする適格合併に係る被合併法人の当該適格合併の日前に終了した事業年度の所得に対する法人税についてされた更正を含む。以下この項において「原更正」という。)に伴うもの(以下この項において「反射的更正」という。)があつた場合において、当該反射的更正により減少する部分の所得の金額のうちに当該原更正に係る事業年度においてその事実を仮装して経理した金額に係るものがあるときは、当該金額は、当該各事業年度において当該内国法人が仮装して経理したところに基づく金額とみなして、前各項の規定を適用する。

法人税法第135条第5項、令和7年4月1日施行

おまけ、カッコ書きの内容

適格合併の場合は、
・被合併法人に対する更正を原更正
・合併法人に対する更正を反射的更正
として取り扱われます。

適格合併に限定されていますので、適格合併でない合併については、第3項(還付請求)で対応する必要があります。


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