仮装経理した法人税の還付加算金と中間納付した法人税の還付金が増える場合


今回は、仮装経理した法人税の還付加算金と中間納付した法人税の還付金が増える場合を確認してみましょう。

還付加算金の計算

先に規定を確認してみましょう。

8 第二項、第三項又は前項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、第一項の更正の日の翌日以後一月を経過した日(第三項の規定による還付金にあつては同項の最終申告期限(同項の期限後申告書の提出があつた場合にはその提出の日とし、同項の決定があつた場合にはその決定の日とする。)の翌日とし、前項の規定による還付金にあつては第四項の規定による還付の請求がされた日の翌日以後三月を経過した日とする。)からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。

法人税法第135条第8項、令和7年4月1日施行

仮装経理の法人税の還付特例を確認してみましょう。

第1項、原則として仮装経理の法人税は還付されません。
第2項、前期に確定した法人税に達するまでは還付されます。
第3項、最終申告期限(原則として5年)が到来した場合は還付されます。
第4項、一定の事実が生じた場合は還付請求できます。
第5項、反射的更正
第6項、還付請求書を提出する必要があります。
第7項、税務署長の対応

今回の内容は、上記の第2項、第3項、第7項に関するものです。

第2項、第3項、第7項の規定による還付金について、還付加算金(還付金に対する利子みたいなもの)を計算する場合には、計算期間を特別に変えることになります。

カッコ書きが複雑なのでカッコ書きを省略してみましょう。

・第1項の更正の日の翌日以後1月を経過した日()から
・その還付のための支払決定をする日等()まで
の期間

上記の取扱いは、第2項の還付について規定されています。
「更正の日の翌日以後1月を経過した日」から計算が始まります。

第3項は、カッコ書きの中で規定されています。

第三項の規定による還付金にあつては同項の最終申告期限(同項の期限後申告書の提出があつた場合にはその提出の日とし、同項の決定があつた場合にはその決定の日とする。)の翌日とし、

「最終申告期限の翌日」から計算が始まります。期限後申告の場合は申告書を提出した日、決定があった場合は決定の日から計算が始まります。

第4項も、カッコ書きの中で規定されています。

前項の規定による還付金にあつては第四項の規定による還付の請求がされた日の翌日以後三月を経過した日とする。

第4項は法人が還付請求書を提出する規定です。「還付請求書を提出した日の翌日以後3月を経過した日」から計算が始まります。

中間納付還付額が増加した場合

先に規定を確認してみましょう。

9 第一項の場合において、同項の更正により第七十四条第一項第五号に掲げる金額が増加したときは、その増加した部分の金額のうち当該更正に係る仮装経理法人税額に達するまでの金額については、前条第二項の規定は、適用しない。ただし、同条第三項に規定する延滞税がある場合における同項の規定の適用については、この限りでない。

法人税法第135条第9項、令和7年4月1日施行

「第74条第1項第5号に掲げる金額」は、中間納付した法人税の還付額です。

「前条第2項の規定」は、中間申告があった事業年度の更正により中間納付の還付が増えたときは、増えた部分を還付するという規定です。この規定が適用されなくなるため、還付されなくなります。

仮装経理の法人税の還付を制限する規定は、中間申告した法人税にも影響することになります。

考え方

数字を使って確認してみましょう。

仮装経理による売上 10,000
法人税率 30%
法人税 3,000
中間納付 7,000
中間納付還付 4,000

中間納付が多かったため、確定申告による納付がなく、中間納付の一部が還付されます。

減額更正があった場合

実際の売上 1,000
法人税率 30%
法人税 300
中間納付 7,000
中間納付還付 6,700
(還付額が2,700増える)

減額更正された結果、法人税が300となります。仮装経理の場合は、仮装経理法人税額に達するまでの金額が還付されなくなります。
(2,700のうち、3,000に達するまでの金額なので2,700)

ただし、中間納付の延滞税がある場合は、延滞税の調整があるため、還付制限の対象外となります。


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