使途不特定財産額の保有制限


今回は、公益法人の「使途不特定財産額の保有制限」を確認してみましょう。

使途不特定財産って何?

現行制度の「遊休財産」が新しい制度で「使途不特定財産」に変わります。
(使途不特定って聞くと消費税の計算を思い出しますね。)

名前だけではなく、財産の範囲も少し変わっています。規定を確認してみましょう。

2 前項に規定する「使途不特定財産額」とは、公益法人による財産の使用若しくは管理の状況又は当該財産の性質に鑑み、公益目的事業又は公益目的事業を行うために必要な収益事業等その他の業務若しくは活動のために現に使用されておらず、かつ、引き続きこれらのために使用されることが見込まれない財産(第十八条に規定する公益目的事業財産のうち、災害その他の予見し難い事由が発生した場合においても公益目的事業を継続的に行うために必要な限度において保有する必要があるものとして内閣府令で定める要件に該当するもの(次項において「公益目的事業継続予備財産」という。)を除く。)として内閣府令で定めるものの価額の合計額をいう。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第16条第2項、施行日令和7年4月1日

カッコ書きの手前までの「公益法人による財産の使用若しくは管理の状況又は当該財産の性質に鑑み、公益目的事業又は公益目的事業を行うために必要な収益事業等その他の業務若しくは活動のために現に使用されておらず、かつ、引き続きこれらのために使用されることが見込まれない財産」は、現行制度の遊休財産と同じです。

変更された内容は、カッコ書きの部分です。

・現に使用されず、
・今後も使用されることが見込まれない
財産であっても「公益目的事業継続予備財産」については、使途不特定財産から除外されます。

災害等が発生した場合に公益目的事業を継続的に行うために必要な限度で保有する必要があるものとして一定の要件を満たすものを「公益目的事業継続予備財産」といいます。

使途不特定財産額の保有には制限がある。

公益法人は、
・現に使用されず、
・今後も使用されることが見込まれない
財産(遊休財産)について一定額を超えて保有できません。

新しい制度の使途不特定財産についても同じです。

規定を確認してみましょう。

(使途不特定財産額の保有の制限)
第十六条 公益法人の毎事業年度の末日における使途不特定財産額は、当該公益法人が公益目的事業を翌事業年度においても行うために必要な額として、当該事業年度前の事業年度において行った公益目的事業の実施に要した費用の額(その保有する資産の状況及び事業活動の態様に応じ当該費用の額に準ずるものとして内閣府令で定めるものの額を含む。)を基礎として内閣府令で定めるところにより算定した額を超えてはならない。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第16条第1項、施行日令和7年4月1日

事業年度の末日の使途不特定財産額は、一定額を超えてはならないと規定されています。詳細は内閣府令(施行規則)を確認する必要がありますが、ここでは、一定額で省略した部分を確認してみましょう。

その公益法人が公益目的事業を翌事業年度においても行うために必要な額として、当該事業年度前の事業年度において行った公益目的事業の実施に要した費用の額

とあります。

現行制度では、
・当該事業年度(当期)における公益目的事業の実施に要した費用の額
ですが、

新しい制度では、
・当該事業年度「前」の事業年度(前期)において行った公益目的事業の実施に要した費用の額

に変わります。

公益目的事業継続予備財産は、公表が必要

公益法人は、事業年度の末日の公益目的事業継続予備財産を保有している場合には、速やかに

・保有する理由
・その金額
・その他一定の事項

を公表する必要があります。

参考規定

3 公益法人は、毎事業年度の末日において公益目的事業継続予備財産を保有している場合には、翌事業年度開始後速やかに、内閣府令で定めるところにより、当該公益目的事業継続予備財産を保有する理由及びその額その他内閣府令で定める事項を公表しなければならない。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第16条第3項、施行日令和7年4月1日

PAGE TOP