信託の併合と消費税の中間申告の特例


今回は、信託の併合と消費税の中間申告の特例を確認してみましょう。

信託の併合

「受託者を同一とする二以上の信託の信託財産の全部を一の新たな信託の信託財産とすること」を信託の併合といいます。
(信託法の定義)

異なる信託であっても受託者(受託事業者)が同じであれば、
1つの信託にまとめることができるという意味です。

信託の併合は、原則として従前の各信託の
委託者、受託者、受益者の合意が必要となります。

消費税の取扱い

受託事業者の消費税の中間申告では、
信託の併合が合併として取り扱われます。

この場合、信託の併合前の受託事業者は被合併法人、
新しい信託の受託事業者は合併法人となります。

同じ受託事業者ですが、
被合併法人と合併法人に分かれるため、
中間申告の合併特例の対象となります。

消費税の合併特例は、吸収合併と新設合併の2つ。
信託法の定義で「一の新たな信託の信託財産とすること」とありますので、適用されるのは新設合併の特例だけなのでしょう。

信託の併合があった場合、新しい受託事業者は免税事業者となりそうですが、過去に新設合併があった場合の固有事業者の基準期間における課税売上高の特例」により、ある程度租税回避が防止されていると思われます。

参考規定

信託の併合があった場合の中間申告

10 受託事業者についての第四十二条の規定の適用については、信託の併合は合併とみなし、信託の併合に係る従前の信託である法人課税信託に係る受託事業者は被合併法人に含まれるものと、信託の併合に係る新たな信託である法人課税信託に係る受託事業者は合併法人に含まれるものとする。

消費税法第15条第10項、施行日令和6年4月9日

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