信託の併合や分割があった場合の受託事業者の消費税


今回は、信託の併合や分割があった場合の受託事業者の消費税を確認してみましょう。

信託の併合と信託の分割

信託については、
・信託の併合
・信託の分割
が認められています。

信託の併合の定義を確認してみましょう。

10 この法律において「信託の併合」とは、受託者を同一とする二以上の信託の信託財産の全部を一の新たな信託の信託財産とすることをいう。

信託法第2条第10項、施行日令和5年6月14日

2以上の信託財産の全てを1つの信託財産にまとめることです。

信託の分割の定義も確認してみましょう。

11 この法律において「吸収信託分割」とは、ある信託の信託財産の一部を受託者を同一とする他の信託の信託財産として移転することをいい、「新規信託分割」とは、ある信託の信託財産の一部を受託者を同一とする新たな信託の信託財産として移転することをいい、「信託の分割」とは、吸収信託分割又は新規信託分割をいう。

信託法第2条第11項、施行日令和5年6月14日

信託の分割は、次の2つです。
・吸収信託分割(他の信託の信託財産として移転する)
・新規信託分割(新たな信託の信託財産として移転する)

信託法と消費税法との関係

・信託の併合については、法人の合併
・信託の分割については、法人の分割
として取り扱うことになります。

信託の併合については、
・従前の受託事業者は、被合併法人
・新しい受託事業者は、合併法人

信託の分割については、
・信託財産を移転する受託事業者は、分割法人
・信託財産の移転を受ける受託事業者は、分割承継法人
として取り扱うことになります。

受託事業者に適用される特例

受託事業者に適用される特例を列挙します。


・法第32条第7項、仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例

・第33条第1項、課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整

・第34条第1項、課税業務用調整対象固定資産を非課税業務用に転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整

・第35条、非課税業務用調整対象固定資産を課税業務用に転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整

・第35条の2第1項及び第2項、居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の仕入れに係る消費税額の調整

・第36条第3項、納税義務の免除を受けないこととなつた場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整

・第38条第4項、売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除

・第38条の2第4項、特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除

第39条第6項、貸倒れに係る消費税額の控除等

以下、施行令です。

第35条、合併等の場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例

第36条の2、リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例

第38条第2項、個人事業者が死亡した場合又は法人が合併等をした場合の特定工事の請負に係る資産の譲渡等の時期

第41条、事業を開始した日の属する期間等の範囲等

留意点は、第41条(課税期間の短縮・変更に関する例外規定)です。

吸収合併や吸収分割ついては事前手続きができないため、要件を満たす場合に、
事後手続きが認められています。

信託の併合や信託の分割があった場合は、課税期間の短縮・変更については、事後手続きが可能です。

参考規定

法人課税信託の受託者に関する特例

第二十八条 受託事業者(法第十五条第三項に規定する受託事業者をいう。以下この条において同じ。)についての法第三十二条第七項、第三十三条第一項、第三十四条第一項、第三十五条、第三十五条の二第一項及び第二項、第三十六条第三項、第三十八条第四項、第三十八条の二第四項並びに第三十九条第六項並びに第三十五条、第三十六条の二、第三十八条第二項及び第四十一条の規定の適用については、信託の併合は合併とみなし、信託の併合に係る従前の信託である法人課税信託(法第十五条第一項に規定する法人課税信託をいう。以下この条において同じ。)に係る受託事業者は被合併法人に含まれるものと、信託の併合に係る新たな信託である法人課税信託に係る受託事業者は合併法人に含まれるものとし、信託の分割は法人の分割とみなし、信託の分割によりその信託財産の一部を受託者を同一とする他の信託又は新たな信託の信託財産として移転する法人課税信託に係る受託事業者は分割法人に含まれるものと、信託の分割により受託者を同一とする他の信託からその信託財産の一部の移転を受ける法人課税信託に係る受託事業者は分割承継法人に含まれるものとする。

消費税法施行令第28条第1項、施行日令和6年4月1日

新しいこと
・ほうじ茶のチャイ
・4時台にジョギング

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