信託の併合や分割で法人課税信託に移行する場合


今回は、信託の併合や分割で法人課税信託に移行する場合を確認してみましょう。

信託の併合があった場合

一定の要件を満たした場合には、
法人課税信託でない信託が法人課税信託に移行します。

要件は、
・信託の併合があった場合
・信託の分割があった場合
の2つに分かれます。

信託の併合があった場合、新しい信託が法人課税信託に該当するのであれば、従前の信託については、信託の併合の直前に法人課税信託でない信託から法人課税信託に移行します。

信託の分割があった場合

信託の分割は、新しい信託に信託財産の一部を移転するものに限ります。「単独新規信託分割」といいます。既にある他の信託に移転する吸収信託分割は含まれません。

単独新規信託分割があった場合、移転を受ける信託(承継信託)が法人課税信託に該当するのであれば、承継信託は分割の直後に集団投資信託や受益者等課税信託から法人課税信託に移行します。

参考規定など

消費税法施行令の規定

6 信託の併合又は信託の分割(一の信託が新たな信託に信託財産の一部を移転するものに限る。以下この項及び次項において「単独新規信託分割」という。)が行われた場合において、当該信託の併合が法人課税信託を新たな信託とするものであるときにおける当該信託の併合に係る従前の信託(法人課税信託を除く。)は当該信託の併合の直前に法人課税信託に該当することとなつたものとみなし、当該単独新規信託分割が集団投資信託(法人税法第二条第二十九号に規定する集団投資信託をいう。以下この項において同じ。)又は受益者等課税信託(法第十四条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産を有するものとみなされる信託をいう。以下この項及び第八項において同じ。)を分割信託とし、法人課税信託を承継信託(信託の分割により分割信託からその信託財産の一部の移転を受ける信託をいう。以下この項及び次項において同じ。)とするものであるときにおける当該承継信託は当該単独新規信託分割の直後に集団投資信託又は受益者等課税信託から法人課税信託に該当することとなつたものとみなす。

消費税法施行令第28条第6項、施行日令和6年4月1日

集団投資信託や受益者等課税信託に該当するものを信託の分割により、法人課税信託に該当する信託で受け入れる場合、信託の分割の直後に集団投資信託や受益者等課税信託が法人課税信託に切り替わります。

法人課税信託の定義を確認してみますと、

次に掲げる信託(集団投資信託並びに第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託及び同項第二号に規定する特定公益信託等を除く。)をいう。

とあり、法人課税信託の要件を満たすものであっても、集団投資信託に該当する場合は、法人課税信託から除外されると読めます。

集団投資信託に該当する信託を単独新規信託分割で切り離したとしても、集団投資信託の要件を満たしている限り、集団投資信託となります。そのため、受け入れ先の信託が法人課税信託であれば、集団投資信託と法人課税信託が併存するため、集団投資信託を法人課税信託とみなす(課税関係を合わせる)ということなのでしょう。

受益者等課税信託についても、法人課税信託の要件を満たさないものは、受益者等課税信託となります。受益者等課税信託と法人課税信託が併存するため、受益者等課税信託を法人課税信託とみなしています。

法人税の「法人課税信託の受託者となった旨の届出書」の
2、信託の併合により効力が生じた法人課税信託である場合
3、新規信託分割により効力が生じた法人課税信託である場合
にチェックを付す必要があるのでしょうね。

法人税法施行令の規定

2 信託の併合又は信託の分割(一の信託が新たな信託に信託財産の一部を移転するものに限る。以下この項及び次項において「単独新規信託分割」という。)が行われた場合において、当該信託の併合が法人課税信託を新たな信託とするものであるときにおける当該信託の併合に係る従前の信託(法人課税信託を除く。)は当該信託の併合の直前に法人課税信託に該当することとなつたものとみなし、当該単独新規信託分割が集団投資信託又は受益者等課税信託(法第十二条第一項(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。以下この項及び第四項において同じ。)を分割信託とし、法人課税信託を承継信託(信託の分割により分割信託からその信託財産の一部の移転を受ける信託をいう。以下この項及び次項において同じ。)とするものであるときにおける当該承継信託は当該単独新規信託分割の直後に集団投資信託又は受益者等課税信託から法人課税信託に該当することとなつたものとみなす。

法人税法施行令第14条の6第2項、施行日令和6年4月1日

所得税法施行令の規定

2 信託の併合又は信託の分割(一の信託が新たな信託に信託財産の一部を移転するものに限る。以下この項及び次項において「単独新規信託分割」という。)が行われた場合において、当該信託の併合が法人課税信託を新たな信託とするものであるときにおける当該信託の併合に係る従前の信託(法人課税信託を除く。)は当該信託の併合の直前に法人課税信託に該当することとなつたものとみなし、当該単独新規信託分割が集団投資信託(法第十三条第三項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する集団投資信託をいう。以下この項において同じ。)又は受益者等課税信託(同条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。以下この項において同じ。)を分割信託とし、法人課税信託を承継信託(信託の分割により分割信託からその信託財産の一部の移転を受ける信託をいう。以下この項及び次項において同じ。)とするものであるときにおける当該承継信託は当該単独新規信託分割の直後に集団投資信託又は受益者等課税信託から法人課税信託に該当することとなつたものとみなす。

所得税法施行令第16条第2項、施行日令和6年4月1日


新しいこと
・ホルモンうどん


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