個人に対する低額譲渡


個人が法人に対して低額譲渡(時価の1/2未満)をした場合、時価で売ったものとして取扱う特例(みなし譲渡)があります。個人が個人に対して低額譲渡をした場合には、みなし譲渡の特例はありませんが、譲渡損の切捨て規定があります。

個人に対する低額譲渡の譲渡損の切捨て

個人が個人に対して、低額譲渡(時価の1/2未満)をした場合に
損失が発生したときは、損失がなかったものとして取扱います。
対象資産は、土地・建物などの不動産、株式で棚卸資産は含まれません。

例えば、320万円で取得した株式を個人に40万円で売った場合

ケース1、時価が70万円の場合
低額譲渡の判定
売った金額40万円≧時価70万円×1/2=35万円
低額譲渡に該当しないため、譲渡損は切捨てられません。

譲渡所得の計算
売った金額40万円-取得費320万円=△280万円

ケース2、時価が150万円の場合
低額譲渡の判定
売った金額40万円<時価150万円×1/2=75万円
低額譲渡に該当するため、譲渡損は切り捨てられます。

譲渡所得の計算
売った金額40万円-取得費320万円=△280万円
損失280万円は0円として取扱います。

損失が切り捨てられるため、他の所得と通算することができなくなります。

参考規定

2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。

所得税法59条
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