個人事業者が親族に給料を支払う場合の取扱い_白色申告


今回は、白色申告の個人事業者が
親族に給料を支払う場合を確認してみましょう。

内容

親の事業を子が手伝う場合、子の事業を親が手伝う場合などパターンは様々ですが、親族の事業に関する仕事について給料を支払う場合、給料を経費として処理するためには一定の手続きが必要です。

白色申告者の場合

青色申告の場合は、3月15日までに届出をする必要がありますが、白色申告の場合は届出制度がありません。届出しなくても経費として処理できるのかというとそうではなく、支払った給料は経費として処理できません。ただし、働いた人(事業専従者)に応じて、次の金額を経費として処理できます。

配偶者については86万円、
配偶者以外については50万円です。

上記の金額は、実際に支払った給料に関係なく経費となりますが、
限度が設けられています。

限度額の計算

限度額の計算は次のとおりです。

不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額
------------------------
        事業専従者の数+1

例えば、事業所得の金額が100万円、事業専従者が配偶者の場合
1、事業専従者
 配偶者 86万円
2、限度額
 事業所得の金額 100万円÷(1+1=2)=50万円
3、経費の金額
 1>2 低い金額の50万円が経費として処理できる金額となります。

生計を一にする配偶者や親族の取扱い

青色申告の場合と同様に、生計が一(サイフが同じ)の配偶者や親族が特例の対象となります。生計が別(サイフが別)の配偶者や親族については特例の対象外です。

生計一の配偶者や親族については、個人事業者が経費として処理した金額を給料(給与所得)として取り扱います。実際に受け取った給料は関係ありません。

まとめ

内容個人事業主
(給料を支払う人)
事業専従者
(給料をもらう人)
生計別の場合支払った給料は
必要経費
受け取った給料は
給料収入
生計一の場合必要経費にならない。給料収入にならない。
生計一の場合(特例)86万円(50万円)を必要経費になる。86万円(50万円)を給与収入になる。
まとめ
手続き

白色申告の場合、届出制度はありませんが、
確定申告書に上記の特例を使用する旨、
経費として処理する金額を記載する必要があります。
記載しない場合は特例が使えませんので注意が必要です。

参考規定

3 居住者(第一項に規定する居住者を除く。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなす。
一 次に掲げる事業専従者の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ その居住者の配偶者である事業専従者 八十六万円
ロ イに掲げる者以外の事業専従者 五十万円
二 その年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(この項の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額
4 前項の規定の適用があつた場合には、各事業専従者につき同項の規定により必要経費とみなされた金額は、当該各事業専従者の当該年分の各種所得の金額の計算については、当該各事業専従者の給与所得に係る収入金額とみなす。
5 第三項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨及び同項の規定により必要経費とみなされる金額に関する事項の記載がない場合には、適用しない。

所得税法第57条第3項から第5項まで、施行日令和5年11月29日
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