借入金返済補助金等とインボイスなし課税仕入れ


今回は、インボイス改正に伴って新設される消費税法基本通達16-2-8(借入金等の返済又は償還のための補助金等の取扱い)を確認します。

基本通達の内容

先に通達を確認します。

(借入金等の返済又は償還のための補助金等の取扱い)
16―2―8 借入金等の返済又は償還のための補助金等(課税仕入れ等に係る特定収入に該当するものに限る。以下 16―2―8において同じ。)の交付を受けた場合の当該補助金等に係る控除対象外仕入れに係る支払対価の額は、当該借入金等に係る事業を行った課税期間において当該借入金等により支出された適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る支払対価の額のうち、当該補助金等により返済又は償還される部分の金額となる。

また、この場合における令第 75 条第9項《取戻し対象特定収入の判定》に基づく取戻し対象特定収入の判定は、借入金等に係る事業を行った課税期間において当該借入金等により支出された課税仕入れに係る支払対価の額の合計額のうち、補助金等により返済又は償還される部分の金額を基礎として行うこととなる。

なお、同条第8項《控除対象外仕入れに係る調整計算》に規定する取戻し対象特定収入のあった課税期間は、借入金等の返済又は償還のための補助金等が交付された課税期間となることに留意する。

消費税法基本通達16-2-8、令和5年10月1日以後
補助金等に係る控除対象外仕入れに係る支払対価の額

借入金返済補助金等に係る
控除対象外仕入れに係る支払対価の額については、
支払った金額のうち補助金に対応する部分の金額となります。

例えば、借入金返済補助金等550と自己資金550を
インボイスあり課税仕入れ440とインボイスなし課税仕入れ660に充てた場合、

控除対象外仕入れに係る支払対価の額は、
インボイスなし課税仕入れの660ではなく、
補助金等により返済される部分となります。

自己資金により行った課税仕入れについては、
特定収入の制限計算対象外となるため、
取戻しの計算対象からも外す必要があるからです。

参考、控除対象外仕入れに係る支払対価の額

省略
適格請求書発行事業者以外の者から行つた課税仕入れに係る支払対価の額(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除されることとなる課税期間及び法第三十七条第一項の規定の適用を受ける課税期間における適格請求書発行事業者以外の者から行つた課税仕入れに係る支払対価の額を除くものとし、適格請求書発行事業者以外の者から行つた課税仕入れであることにより法第三十条第一項の規定の適用を受けないこととなるものに限る。以下この条において「控除対象外仕入れに係る支払対価の額」という。)
省略

消費税法施行令75条8項
取戻し対象特定収入の判定

借入金により支出した課税仕入れの全額ではなく、
補助金等に対応する部分の金額を基に
取戻し対象特定収入の5%判定を行います。

上記の事例の場合、課税仕入れに係る支払対価の1,100ではなく、
補助金等に対応する部分の金額を基に判定する必要があります。

控除対象外仕入れに係る調整計算の時期

課税仕入れを行った課税期間と補助金等を受け取った課税期間が異なる場合であっても、控除対象外仕入れに係る調整計算は、補助金等を受け取った課税期間に行います。

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