償却費の損金経理額に含まれるもの


今回は、新しく公表された基本通達のうち、「減価償却資産の償却費の損金経理額に含まれるもの」を確認してみましょう。

基本通達の内容

先に新しく公表された基本通達を確認してみましょう。

(減価償却資産の償却費の損金経理額に含まれるもの)
7-5-3 法第64条の2第1項⦅リース取引に係る所得の金額の計算⦆に規定するリース資産に係る法第31条第1項⦅減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法⦆に規定する「その償却費として損金経理をした金額」には、内国法人が当該リース資産についてその確定した決算において当該リース資産に係る使用権資産(賃借人が原資産(2-1-1ただし書の⑵(注)⑵⦅収益の計上の単位の通則⦆に定める原資産をいう。)をリース期間(7-6の2-10の2(注)⦅賃借人の会計リース期間をリース期間とする場合の取扱い⦆に定める賃借人の会計リース期間をいう。)にわたり使用する権利を表す資産として財務諸表に記載されるものをいう。)の減価償却費として経理した金額が含まれることに留意する。

「法第64条の2第1項に規定するリース資産」とありますので、税金計算上のリース資産(ファイナンスリース)に限定されます。オペレーティングリースは含まれません。

法第31条第1項には、
法人税の計算上、経費となる金額(損金算入額)は、
・その償却費として損金経理をした金額(損金経理額)のうち
・償却限度額に達するまでの金額
と規定されています。

例えば、次の場合は、
・損金経理額 100万円
・償却限度額 80万円

損金経理額(100万円)のうち、償却限度額(80万円)に達するまでの金額(80万円)が損金算入額となります。

基本通達の続きを確認してみましょう。

使用権資産の減価償却費として経理した金額が含まれることに留意する。

その償却費として損金経理をした金額には、
「使用権資産の減価償却費として経理した金額」が含まれる。
という通達です。

注意点は、上記通達の使用権資産には、
・オペレーティングリースの使用権資産
については含まれません。

オペレーティングリースは、税金計算上、資産の売買ではなく資産の賃貸借として取り扱うため、
・法人税法第53条、賃貸借取引に係る費用
・法人税基本通達12の5-3-2、無償等賃借期間を含む賃貸借取引に係る支払額の損金算入(フリーレント関係)
の対象となります。

使用権資産の定義

カッコ書きの使用権資産の定義を確認してみましょう。

賃借人が原資産(2-1-1ただし書の⑵(注)⑵⦅収益の計上の単位の通則⦆に定める原資産をいう。)をリース期間(7-6の2-10の2(注)⦅賃借人の会計リース期間をリース期間とする場合の取扱い⦆に定める賃借人の会計リース期間をいう。)にわたり使用する権利を表す資産として財務諸表に記載されるものをいう。

カッコ書きを省略します。

賃借人が原資産()をリース期間()にわたり使用する権利を表す資産として財務諸表に記載されるものをいう。

リースの対象となる資産そのものを「原資産」といいます。
(例、建物、車両、機械、工具、器具、備品など)

リース期間は、「借りている人の会計上のリース期間」をいいます。
賃借人の会計リース期間=
・解約不能期間+行使が合理的に確実な延長オプションの対象期間
・解約不能期間+行使が合理的に確実な解約オプションの対象期間

損益通算などの制限

追加された基本通達についても確認してみましょう。

(償却費として損金経理をした金額の意義)
12の7-1-6 令第131条の8第6項第2号(損益通算の対象となる欠損金額の特例)に規定する「償却費として損金経理をした金額」には、7-5-1(償却費として損金経理をした金額の意義)又は7-5-2(申告調整による償却費の損金算入)の取扱いにより償却費として損金経理をした金額に該当するものとされる金額が含まれることに留意する。

上記の内容は変わっていません。続きが追加された部分です。

7-5-3(減価償却資産の償却費の損金経理額に含まれるもの)の取扱いにおけるその確定した決算において法第64条の2第1項(リース取引に係る所得の金額の計算)に規定するリース資産に係る同通達に定める使用権資産の減価償却費として経理した金額についても、同様とする。

「償却費として損金経理をした金額」には、
・基本通達7-5-1、別科目で経理した金額
・基本通達7-5-2、例外的に申告調整した金額
・基本通達7-5-3、使用権資産の減価償却費(今回追加されたもの)
が含まれます。

注意点は、上記通達の使用権資産には、
・オペレーティングリースの使用権資産
については含まれません。税金計算上のリース資産(ファイナンスリース)に限定されます。

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