元入金と事業主貸


今回は、所得税の会計処理で使用する元入金、
事業主貸、事業主借について確認してみましょう。

元入金の処理

事例で確認します。

1、Aさんが現金300を手元に用意して、金庫の中に保管した。

仕訳

借方貸方
現金 300元入金 300
仕訳

貸借対照表

資産負債・純資産
(事業用)現金 300元入金 300
貸借対照表

貸借対照表は必ず貸借(左右)が一致します。

2、商品50を仕入れて、現金50を支払った。
仕入れた商品を60で販売し、現金60を受け取った。

仕訳

借方貸方
仕入 50現金 50
現金 60売上 60
仕訳2

損益計算書

借方貸方
仕入 50売上 60
利益 10
損益計算書

貸借対照表

資産負債・純資産
(事業用)現金 300-50+60=310利益 10
元入金 300
貸借対照表

利益は期中では仕訳を行いませんが、
仮に行ったものとして表示しています。

事業主借と事業主貸の仕訳例

事業主借の仕訳例

事業で使用する現金400をレジや金庫に入れた場合

借方貸方
事業用現金 400事業主借 400
事業主借

事業で使用する現金250をレジや金庫から出した場合

借方貸方
事業主貸 250事業用現金 250
事業主貸
事業主貸と事業主借の意味

事例で確認します。

家で使用する消耗品10を買うために、
事業資金10をレジや金庫から引き出した。
実際に使用したのは現金8だったので、後で現金2をレジに戻した。

仕訳

借方貸方
事業主貸 10現金 10
現金 2事業主借(貸) 2
仕訳2

「事業主貸」勘定と「事業主借」勘定は、
「Aさん個人の財布」と「Aさんの事業資金」を分けて
管理していることが前提です。

それぞれのお金を分けて管理しているため、Aさんの事業資金10を、
Aさん個人に10貸したという意味で「事業主・貸」です。

事業資金が10減るので、貸方が現金です。
貸したお金は後で返してもらえる資産なので、
借方が「事業主に対する貸付金」です。

逆の場合は、事業主からお金を借りたという意味で「事業主・借」です。

「事業主貸」と「事業主借」はあまり分ける意味がなく、私は「事業主貸」で処理していました。法人の場合、「役員貸付金」や「役員借入金」という勘定科目などを使用します。

貸借対照表

資産負債・純資産
(事業用)現金 310-10+2=302
事業主貸 10
事業主借 2
利益 10
元入金 300
年末の貸借対照表

このまま決算を行って、翌年に貸借対照表の金額を繰り越す場合は、
次のように繰り越します。

年初の貸借対照表

資産負債・純資産
(事業用)現金 302元入金 302
翌年の貸借対照表

元入金の金額が300から302に増えます。
元入金は、資産から負債をマイナスして計算します。

資産302-負債0=元入金302となります。

正しく計算すると、年末の元入金300+利益10
+自分から借りたお金2-自分に貸したお金10=翌年の元入金302となります。

翌年に繰り越す方法をまとめると、次のとおりです。

  • 資産の金額302はそのまま翌年に繰り越す。
  • 負債の金額0もそのまま翌年に繰り越す。
  • 元入金は資産302と負債0の差額302を記入する。
    300をそのまま繰り越さない。
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