今回は、改正後の公益法人に関する中期的収支均衡を確認してみましょう。
現行制度の収支相償
現行制度の「収支相償」が、「中期的収支均衡」に変わります。
収支相償の規定を確認してみましょう。
(公益目的事業の収入)
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第14条、施行日令和6年5月22日
第十四条 公益法人は、その公益目的事業を行うに当たり、当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない。
公益目的事業に適正な費用を超えて収入が得ることが規定上認められていません。要件が厳しく運用が難しいということで、収支相償の名前だけではなく内容も改正されます。
改正後は、中期で収支のバランスを図る
改正後の規定を確認してみましょう。
(公益目的事業の収入及び費用)
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第14条、施行日令和7年4月1日
第十四条 公益法人は、その公益目的事業を行うに当たっては、内閣府令で定めるところにより、当該公益目的事業に係る収入をその実施に要する適正な費用(当該公益目的事業を充実させるため将来において必要となる資金として内閣府令で定める方法により積み立てる資金を含む。)に充てることにより、内閣府令で定める期間において、その収支の均衡が図られるようにしなければならない。
公益目的事業の収入を公益目的事業に適正な費用に充てて、施行規則(内閣府令)で定める期間において収支の均衡を図る必要があります。費用の中には、将来必要となる資金の積立てを含みます。
収入≒費用+必要資金の積み立て
新制度の中期的収支均衡
施行規則(内閣府令)を確認してみましょう。
(中期的収支均衡)
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第15条、施行日令和7年4月1日
第十五条 法第十四条に規定する内閣府令で定める期間(以下「中期均衡期間」という。)は五年間とし、同条の規定により、公益法人が公益目的事業を行うに当たって当該期間に図られるようにしなければならない収支の均衡(以下「中期的収支均衡」という。)については、この款に定めるところによる。
「中期均衡期間」は5年間です。収支のバランス(中期的収支均衡)を短期ではなく、5年間で判定ができるようになります。
中期的収支均衡の計算については、この款(第2款、中期的収支均衡)に定めるとありますので、条文のタイトルだけ先に確認してみましょう。
第16条、年度剰余額等の算定
第17条、残存剰余額の解消
第18条、残存剰余額等の算定
第19条、特例算定方法
第20条、特例算定における当該事業年度前の残存剰余額の解消等
第21条、中期的収支均衡の判定
第22条、合併に係る措置
第23条、公益充実資金
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編集後記、気になったこと
公益法人に関する法令が変わりますが、令和7年度税制改正大綱にそのことが記載されていなかったような。細かいところだと税金計算上のみなし寄附金の限度額の特例が変わるのでしょうね。