公益法人の公益充実資金


今回は、公益法人の公益充実資金を確認してみましょう。

公益目的事業は収支のバランスが必要

一般社団法人や一般財団法人については、行政庁(内閣総理大臣・都道府県の知事)の認定を受けた場合、公益法人になることが可能です。

公益法人は、公益目的事業(23の事業)について収支のバランスを図ることが求められています。

収支バランスの判定期間は5年で、要件を満たした資金の積立てについては費用として計算が可能です。

公益充実資金

公益目的事業を充実させるため将来において必要となる資金を「公益充実資金」といいます。資金と定義されていますが、この資金を運用することを目的として保有する財産も公益充実資金に含まれます。例、有価証券。

公益充実資金については、5つの要件(施行規則)を全て満たす必要があります。

1、公益充実活動等の支出に充てるための必要な資金として積み立てること。

公益目的事業に係る
・将来の特定の活動の実施
・将来の特定の公益目的保有財産の取得など
を「公益充実活動等」といいます。

2、一定の次項を速やかに公表すること。

2の公表事項は、全部で5つ。
1、末日の公益充実活動等ごとの内容と実施時期
2、末日の積立限度額(公益目的活動等ごとの所要額の合計額)
3、公益充実資金を取り崩した金額と積み立てた金額
4、末日の公益充実資金(積み立てている金額)
5、前事業年度の末日の一定の事項

一定の事項
・公益充実活動等ごとの内容と実施時期
・積立限度額と算定根拠
・公益充実資金
・その他

3、目的外の取り崩しについては特別の手続きが定められていること。
4、積立限度額以上に積み立てないこと。
5、財務諸表などで他の資金と明確に区分表示すること。

資金の取り崩し

公益充実資金を有する公益法人は、次の場合に資金を取り崩す必要があります。

1、目的にあった支出がされた場合、資金のうち支出に達するまでの金額

例えば、次の場合
・資金 800万円
・支出 1000万円

800万円の資金を取り崩す必要があります。

2、正当な理由がなく公益充実活動等を実施しなかった場合、その事実があった日の公益充実活動の資金

2の場合については、公益充実資金の積立限度額を算定する場合、実施しなかった公益充実活動等に必要な金額(所要額)を除外する必要があります。積み立てる必要がなくなったからです。

参考規定

公益目的事業の収入及び費用

第十四条 公益法人は、その公益目的事業を行うに当たっては、内閣府令で定めるところにより、当該公益目的事業に係る収入をその実施に要する適正な費用(当該公益目的事業を充実させるため将来において必要となる資金として内閣府令で定める方法により積み立てる資金を含む。)に充てることにより、内閣府令で定める期間において、その収支の均衡が図られるようにしなければならない。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第14条、施行日令和7年4月1日

公益充実資金の要件は5つ

第二十三条 公益目的事業を充実させるため将来において必要となる資金(当該資金を運用することを目的として保有する財産を含む。以下「公益充実資金」という。)についての法第十四条に規定する内閣府令で定める方法は、次に掲げる要件のすべてを満たすものとする。
一 公益目的事業に係る将来の特定の活動の実施又は将来の特定の公益目的保有財産に係る資産の取得若しくは改良(以下「公益充実活動等」という。)に係る費用等の支出に充てるために必要な資金として積み立てられるものであること。
二 公益充実資金に関する次に掲げる事項を当該事業年度の終了後、インターネットの利用その他の適切な方法により速やかに公表していること。
イ 当該事業年度の末日における公益充実活動等ごとの内容及び実施時期
ロ 当該事業年度の末日における積立限度額(公益充実活動等ごとの所要額の合計額をいう。以下同じ。)及びその算定根拠
ハ 当該事業年度の公益充実資金の取崩額及び積立額
ニ 当該事業年度の末日における公益充実資金の額
ホ 前事業年度の末日における公益充実活動等ごとの内容及び実施時期、積立限度額及びその算定根拠並びに公益充実資金の額、その他内閣総理大臣が必要と認める事項
三 公益充実資金を公益充実活動等以外の支出に充てるために取り崩す場合について特別の手続が定められていること。
四 当該事業年度の末日における公益充実資金の額が第二号ロの積立限度額以下であること。
五 財産目録、貸借対照表又はその附属明細書において、他の資金と明確に区分して表示されていること。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第23条第1項、施行日令和7年4月1日

公益充実資金の取り崩し

2 公益充実資金(この項の規定により取り崩すべきこととなったものを除く。以下この条において同じ。)を有する公益法人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額に相当する資金を取り崩さなければならない。
一 当該資金の目的の支出がなされた場合 当該資金の額のうち当該支出の額に達するまでの額
二 正当な理由がないのに当該資金の目的とする公益充実活動等を行わない事実があった場合 その事実があった日における当該公益充実活動等に係る資金の額

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第23条第2項、施行日令和7年4月1日

正当な理由がなく、公益充実活動等を実施しなかった場合

3 前項第二号の場合にあっては、当該事業年度以後の各事業年度の末日における公益充実資金の積立限度額は、当該公益充実活動等の所要額を除いて算定しなければならない。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第23条第3項、施行日令和7年4月1日
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