今回は、公益法人の区分経理が不要となる場合を確認してみましょう。
原則は区分経理が必要
公益法人は、原則として
・公益目的事業に係る経理
・収益事業等(公益目的事業以外の事業)に係る経理
・法人の運営に係る経理
の3つに区分が必要です。
ただし、収益事業等がない場合は、要件を満たせば区分経理が不要となります。
参考規定
(区分経理)
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第19条第1項、施行日令和7年4月1日
第十九条 公益法人は、内閣府令で定めるところにより、公益目的事業に係る経理、収益事業等に係る経理及び法人の運営に係る経理(収益事業等を行わない公益法人にあっては、公益目的事業に係る経理及び法人の運営に係る経理)をそれぞれ区分して整理しなければならない。ただし、収益事業等を行わない公益法人であって、その行う公益目的事業の内容その他の事項に関し内閣府令で定める要件に該当するものについては、この限りでない。
区分経理が不要となる要件
区分経理が不要となる要件は、施行規則に規定されています。確認してみましょう。
(区分経理を行わない公益法人の要件)
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第43条、施行日令和7年4月1日
第四十三条 法第十九条第一項ただし書の内閣府令で定める要件は、次に掲げるものとする。
一 貸借対照表について、前条第一項に規定にする各経理単位の内訳を表示していないこと。
二 各公益目的事業ごとに区分した経理の内訳を損益計算書に表示していること。
要件は、次の2つです。
1、貸借対照表(B/S)について、各経理単位の内訳を表示をしていない。
2、損益計算書(P/L)について、各公益目的事業の内訳を表示している。
読替規定
貸借対照表の区分経理をしない場合、資産と負債の内訳が表示されなくなりますので、次の2つの規定の読替えが必要となります。
・第18条、公益目的事業財産
・第30条第2項、公益目的取得財産残額の計算方法
第18条を読み替えてみましょう。
第十八条 公益法人は、次に掲げる財産(以下「公益目的事業財産」という。)及び当該公益法人が保有する公益目的事業財産以外の財産のうち当該公益法人の運営を行うため必要な財産として内閣府令で定めるもの以外のもの(以下「公益目的事業財産等」という。)を公益目的事業を行うために使用し、又は処分しなければならない。以下省略
元の規定の内容は、「公益法人は8つの公益目的事業財産を公益目的事業のために使用・処分する必要がある」というものです。
読み替えると、「当該公益法人が保有する公益目的事業財産以外の財産のうち当該公益法人の運営を行うため必要な財産として内閣府令で定めるもの以外のもの」が追加されます。
内閣府令(施行規則)で定めるものは、次の4つです。
1、法人活動保有財産
2、資産取得資金
3、特定費用準備資金
4、指定寄附資金
1と4については、公益目的事業に供するものは含まれません。2と3については改正により、公益目的事業に関するものが除外されています。
・8つの公益目的事業財産
・上記1から4までの財産以外のもの(読替えにより追加)
2つを合わせて「公益目的事業財産等」といい、公益目的事業のために使用・処分する必要があります。
第30条第2項を読み替えてみましょう。
2 前項に規定する「公益目的取得財産残額」とは、第一号に掲げる財産から第二号に掲げる財産を除外した残余の財産の価額の合計額から第三号に掲げる額を控除して得た額をいう。
一 当該公益法人が取得した全ての公益目的事業財産等(第十八条第六号に掲げる財産にあっては、公益認定を受けた日前に取得したものを除く。)
二 当該公益法人が公益認定を受けた日以後に公益目的事業を行うために費消し、又は譲渡した公益目的事業財産等
三 公益目的事業財産等以外の財産であって当該公益法人が公益認定を受けた日以後に内閣府令で定める方法により公益目的事業を行うために費消し、又は譲渡したもの及び同日以後に公益目的事業の実施に伴い負担した公租公課の支払その他内閣府令で定めるものの額の合計額
公益法人が公益認定の取消しを受けた場合は、一定額を国や都道府県に贈与する必要があります。この一定額を「公益目的取得財産残額」といいます。
貸借対照表の区分経理をしない場合は、公益目的事業財産の範囲が広がるため、公益目的事業財産残額の範囲も広がることになります。
参考規定
貸借対照表を区分経理しない場合の読替規定
2 前項ただし書の規定の適用を受ける公益法人における前条及び第三十条第二項の規定の適用については、前条中「を公益目的事業」とあるのは「及び当該公益法人が保有する公益目的事業財産以外の財産のうち当該公益法人の運営を行うため必要な財産として内閣府令で定めるもの以外のもの(以下「公益目的事業財産等」という。)を公益目的事業」と、同項各号中「公益目的事業財産」とあるのは「公益目的事業財産等」とする。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第19条第2項、施行日令和7年4月1日
公益法人の運営を行うため必要な財産
第四十四条 法第十九条第二項に規定する公益法人の運営を行うため必要な財産は、法人活動保有財産、資産取得資金、特定費用準備資金及び指定寄附資金(法人活動保有財産及び指定寄附資金にあっては、公益目的事業の用に供するものを除く。)とする。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第44条、施行日令和7年4月1日
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