公益法人の区分経理の方法


今回は、公益法人の区分経理の方法を確認してみましょう。

区分経理

株式会社等が複数の事業を行っている場合、事業別の損益を把握するために部門別会計を採用していることがあります。公益法人では「区分経理」といい、原則として区分経理が必要となります。

原則は、
・公益目的事業に係る経理
・収益事業等(公益目的事業以外の事業)に係る経理
・法人の運営に係る経理
の3つに区分が必要です。

収益事業等(公益目的事業以外の事業)がない公益法人は、
・公益目的事業に係る経理
・法人の運営に係る経理
の2つに区分が必要です。

収益事業等がない公益法人は、要件を満たせば区分経理が不要となります。

区分経理の方法

収益事業等がある公益法人は、
・公益目的事業に係る経理
・収益事業等に係る経理
・法人の運営に係る経理
の3つを区分して、内訳表示が必要となります。

収益事業等がない公益法人は、
・公益目的事業に係る経理
・法人の運営に係る経理
の2つを区分して、内訳表示が必要となります。

法律と施行規則の内容は、ほとんど変わりません。ポイントは、損益計算書だけではなく貸借対照表も区分経理が必要です。

複数の公益目的事業や収益事業等を行う場合は、1つの事業ごとに内訳表示が必要です。

事業ごとに按分が難しい収益・費用については、
・共通収益
・共通費用
として区分表示が可能です。


1、公益目的事業に係る経理
・A公益目的事業
・B公益目的事業
・共通

2、収益事業等に係る経理
・C収益事業等
・D収益事業等
・共通

経過措置は3年

令和7年4月1日から3年を経過する日(令和10年3月31日)前に開始する事業年度については、原則に関係なく、次の例外が選択できます。

区分経理が必要な公益法人の貸借対照表については、
・公益目的事業に係る経理
・収益事業等に係る経理
・法人の運営に係る経理
の内訳を表示が可能となります。

損益計算書については、各事業の内訳表示が必要です。

参考規定

法律

(区分経理)
第十九条 公益法人は、内閣府令で定めるところにより、公益目的事業に係る経理、収益事業等に係る経理及び法人の運営に係る経理(収益事業等を行わない公益法人にあっては、公益目的事業に係る経理及び法人の運営に係る経理)をそれぞれ区分して整理しなければならない。ただし、収益事業等を行わない公益法人であって、その行う公益目的事業の内容その他の事項に関し内閣府令で定める要件に該当するものについては、この限りでない。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第19条第1項、施行日令和7年4月1日

施行規則

原則は、B/SとP/Lの経理単位の内訳表示が必要

(区分経理の方法)
第四十二条 公益法人(法第十九条第一項ただし書の規定の適用を受けるものを除く。次項において同じ。)は、貸借対照表及び損益計算書について、公益目的事業に係る経理、収益事業等に係る経理及び法人の運営に係る経理(収益事業等を行わない公益法人にあっては、公益目的事業に係る経理及び法人の運営に係る経理)の各経理単位の内訳を表示しなければならない。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第42条第1項、施行日令和7年4月1日

複数の事業がある場合は、事業ごとの内訳表示が必要。
按分が難しい場合は、共通の収益や費用として表示できる。

2 公益法人が、複数の公益目的事業又は収益事業等を行う場合は、前項に規定する損益計算書の各経理単位の内訳について、公益目的事業に係る経理については各公益目的事業ごとの、収益事業等に係る経理については各収益事業等ごとの内訳を表示しなければならない。ただし、各事業ごとに配賦することが困難な収益及び費用がある場合は、これらを公益目的事業に係る経理又は収益事業等に係る経理における共通収益及び費用として表示することができる。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第42条第2項、施行日令和7年4月1日

経過措置は3年間。ただし、B/Sだけ。

3 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第二十九号)の施行の日から起算して三年を経過する日前に開始する事業年度における公益法人の経理については、前二項の規定にかかわらず、貸借対照表(第十九条第一項の規定の適用を受ける公益法人が作成する貸借対照表に限る。)について公益目的事業に係る経理、収益事業等に係る経理及び法人の運営に係る経理の各経理単位の内訳を表示し、損益計算書について各事業ごとに区分した経理の内訳を表示する方法とすることができる。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第42条第3項、施行日令和7年4月1日

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