公益法人の年度剰余額等の算定


今回は、公益法人の年度剰余額等の算定を確認してみましょう。

年度剰余額等の算定

公益法人は、5年間(中期均衡期間)で収支のバランス(中期的収支均衡)を図る必要があります。

計算方法は、施行規則に規定されています。確認してみましょう。

(年度剰余額等の算定)
第十六条 公益法人は、毎事業年度の終了後、次項の規定により当該終了した事業年度(以下この款において「当該事業年度」という。)に生じた年度剰余額又は年度欠損額を、第三項又は第四項の規定により当該事業年度に係る暫定残存剰余額又は残存欠損額を、それぞれ算定するものとする。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第16条第1項、施行日令和7年4月1日

事業年度が終了した後、第2項の規定によりその終了した事業年度(当該事業年度)に生じた
・年度剰余額(第2項、単年度の黒字)
・年度欠損額(第2項、単年度の赤字)
・暫定残存剰余額(第3項)
・残存欠損額(第4項)
を算定することになります。

年度剰余額

年度剰余額の計算規定を区切って確認してみましょう。

2 当該事業年度に生じた年度剰余額は、第一号に掲げる額(以下この項において「収入額」という。)が第二号に掲げる額(以下この項において「費用額」という。)以上である場合において、収入額から費用額を控除した額とし、当該事業年度に生じた年度欠損額は、収入額が費用額を下回る場合において、費用額から収入額を控除した額とする。ただし、収入額が費用額を下回る場合において、年度欠損額を零とすることができる。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第16条第2項、施行日令和7年4月1日

算式で確認してみます。
年度剰余額(単年度の黒字)=収入額(第1号)-費用額(第2号)
年度欠損額(単年度の赤字)=費用額(第2号)-収入額(第1号)

例外として、赤字の場合は、年度欠損額を0とすることが可能です。

収入額

収入額の計算規定を確認してみましょう。

一 次に掲げる額の合計額
イ 当該事業年度の損益計算書に計上すべき公益目的事業に係る経常収益(一般純資産に係るものに限る。)の額
ロ 当該事業年度の公益充実資金(第二十三条第一項に規定する公益充実資金をいう。以下この条及び第十九条において同じ。)の取崩額(取崩額の全部又は一部を第三十六条第三項第一号に掲げる財産(以下この条、次条、第十九条、第二十三条及び第三十条において「公益目的保有財産」という。)に係る資産の取得又は改良に充てた場合にあっては、当該公益目的保有財産に係る資産の取得又は改良に充てた額を控除した額)
ハ 収益事業等を行う公益法人にあっては、当該事業年度に収益事業等から生じた収益(収益事業等における収益から、管理費のうち収益事業等に按分される額を控除した額)に百分の五十を乗じて得た額

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第16条第2項第1号、施行日令和7年4月1日

算式だと、収入額=イ+ロ+ハです。

イは、公益目的事業の経常収益です。一般純資産に限ります。
(一般正味財産が一般純資産に名前が変わります。)

ロは、公益充実資金を取り崩した金額です。

カッコ書きの内容
取り崩した金額を「公益目的保有財産」の取得等に充てた場合は、充てた金額を取り崩した金額からマイナスします。

公益充実資金は、「公益目的事業を充実させるため将来において必要となる資金で施行規則の要件を全て満たすもの」をいいます。

ハは、(収益事業等の利益-収益事業の管理費相当額)×50%です。

費用額

費用額の計算規定を確認してみましょう。

二 次に掲げる額の合計額
イ 当該事業年度の損益計算書に計上すべき公益目的事業に係る経常費用(一般純資産に係るものに限る。)の額(公益充実資金の取崩しにより又は次条第一号に掲げる使途として取得又は改良した公益目的保有財産に係る減価償却費の額が含まれる場合には、当該減価償却費の額のうち、当該公益目的保有財産の取得又は改良に係る価額のうち当該取崩しの額又は当該使途に充てることにより解消額とした額に相当する部分の額を除く。)
ロ 当該事業年度の公益充実資金の積立額

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第16条第2項第2号、施行日令和7年4月1日

算式だと、費用額=イ+ロです。

イは、公益目的事業の経常費用です。一般純資産に限ります。

カッコ書きの内容
・公益充実資金の取り崩し
・残存剰余額の解消目的
により取得した公益目的保有財産の減価償却費が経常費用に含まれている場合は、減価償却費のうち取り崩した金額や解消額を経常費用からマイナスします。

公益充実資金の取り崩しについては、
・原則、収入額
・カッコ書き、公益目的保有財産の取得に充てた場合は、収入額から除外
するため、減価償却費を経常費用としてマイナスすると2重控除になるからです。

残存剰余額の解消目的については、公益目的保有財産の取得により
・暫定残存剰余額
・過年度残存剰余額
の解消額として扱うことが可能です。こちらも減価償却費を経常費用としてマイナスすると2重控除になるからです。

ロは、公益充実資金を積み立てた金額です。

整理しますと、公益目的事業の
・収入額(経常収益)-費用額(経常費用)=年度剰余額(経常利益)
となります。公益充実資金や公益目的保有財産については、収支計算します。収支計算のため、公益目的保有財産の減価償却費は費用額(経常費用)からマイナスします。

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