公益法人の残存剰余額の解消


今回は、公益法人の残存剰余額の解消を確認してみましょう。

収支のバランスは5年で見る。

公益法人は、5年間(中期均衡期間)で収支のバランス(中期的収支均衡)を図る必要があるため、当期の黒字や赤字だけではなく、過去の黒字や赤字を計算して管理する必要があります。

収支のバランスを図る方法の1つとして、当期の黒字については、過去4年の赤字と通算が可能です。過去の黒字については、当期の赤字と通算が可能です。

5年間で収支のバランスが図ることができれば問題ありませんが、黒字が残る場合があり、黒字の解消方法として「残存剰余額の解消」があります。

残存剰余額の解消

黒字(暫定残存剰余額や過年度残存剰余額)がある場合、次の3つの使途に充てた場合は、黒字を解消することが可能です。

1、公益目的保有財産の資産の取得など

2、公益目的事業を実施するための借入金の返済
災害等が原因で、内閣総理大臣が定めるものに限定されています。

3、公益目的事業を実施するための費用や支出
行政庁の確認が必要です。

参考規定

残存剰余額の解消

第十七条 公益法人は、当該事業年度に係る暫定残存剰余額又は過年度残存剰余額(当該事業年度において年度欠損額が生じた場合には、当該年度欠損額を過年度残存剰余額のうち最も古い事業年度に係るものからその額を限度として順次控除したときに、当該過年度残存剰余額から控除することとなる額を除く。以下この条及び次条において同じ。)で零を超えるものがある場合は、その全部又は一部を次の各号に掲げる使途に充てた場合は、当該各号に定める額を当該暫定残存剰余額又は過年度残存剰余額の解消額とすることができる。
一 公益目的保有財産に係る資産の取得又は改良 当該公益目的保有財産の取得価額又は改良に要した額の全部又は一部
二 公益法人が、災害その他の公益目的事業の実施が著しく困難となる事態として内閣総理大臣が定めるものにあって、公益目的事業を実施するために必要な資金の不足(当該事態により資金の不足が生じた事業年度における欠損金(前条第二項に規定する年度欠損額の算定方法を基礎として内閣総理大臣が定める方法で算定した額)を補うために不可欠なものとして行った借入れに係る元本の返済 その返済に充てた額
三 前各号に掲げるもののほか、当該公益法人が行う公益目的事業の内容その他の事情を勘案し、当該公益目的事業の実施のために必要不可欠であるとして行政庁の確認を得た事項 その事項に要した額

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第17条、施行日令和7年4月1日

用語の内容

暫定残存剰余額とは、過去の赤字を通算した後の当期の黒字をいいます。過年度残存剰余額とは、過去の黒字から赤字をマイナスしたもので当期に残っているものです。当期に赤字が生じた場合は、過去の黒字と通算できます。

参考リンク
中期的収支均衡
年度剰余額等の算定
暫定残存剰余額と残存欠損額

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