公益法人の特例算定方法


今回は、公益法人の特例算定方法(50%超繰入)を確認してみましょう。

特例算定方法

公益法人は、5年間の収支のバランスを図るために
・年度剰余額
・年度欠損額
・暫定残存剰余額
・残存欠損額
・残存剰余額の解消額
を計算する必要があります。

上記は、原則の計算方法です。今回は、特例計算を確認してみましょう。

特例計算ができる法人は、公益目的事業以外の事業(収益事業等)を行う公益法人です。特例計算は、特例費用額>特例収入額の場合に、「特例残存欠損額」の計算が可能となります。

この特例計算の目的は、収益事業等の利益の50%を超える繰り入れをした場合の赤字を計算することです。

特例収入額

次の4つの合計額を「特例収入額」といいます。
1、公益目的事業の経常収益(一般純資産に限定)
2、公益充実資金を取り崩した金額
3、公益目的朋友財産の売却収入
4、(収益事業等の利益-収益事業等の管理費)×50%

特例計算ができるかどうかの判定では、利益の50%で計算しましょう。

特例費用額

次の4つの合計額を「特例費用額」といいます。

1、公益目的事業の経常費用(一般純資産に限定)
公益目的保有財産の減価償却費を除外します。

2、公益充実資金を積み立てた金額

3、公益目的保有財産の取得に要した金額

4、過年度特例残存欠損額の合計額
過年度特例残存欠損額は、過去4年に計算した特例残存欠損額です。

特例残存欠損額

算式で確認してみましょう。

第3号の金額-(第1号の金額+第2号の金額)=特例暫定欠損額
特例暫定欠損額-過年度特例残存欠損額の合計額=特例残存欠損額

第3号は特例費用額、第1号は特例収入額です。

第2号は、次の1-2で計算します。
1、収益事業等から生じた利益から公益目的事業に繰り入れた金額(注)
注、特例費用額が特例収入額を超える部分(赤字)が上限
2、(収益事業等の利益-収益事業等の管理費)×50%

上記は、収益事業等の利益の50%を超える部分の繰入額を計算しています。

数字を使って確認してみましょう。

収益事業等の利益 80
収益事業等の管理費 25
収益事業等の利益(管理費考慮した後) 80-25=55

利益の50%は27.5ですが、
公益目的事業に繰り入れた金額 50

特例費用額 200
特例収入額 140
繰入上限額(赤字を補てんできる限度額) 200-140=60

第1号、特例収入額 140
第2号、繰入額50-50%相当額27.5=超過繰入額 22.5
 1、収益事業等から生じた利益から公益目的事業に繰り入れた金額 50
 2、(収益事業等の利益-収益事業等の管理費)×50%=27.5
第3号、特例費用額 200

費用200-(収入140+超過繰入22.5)=特例暫定欠損額37.5

費用から50%超過繰入の22.5だけマイナスしているのは、50%までの金額27.5は既に特例収入額に含まれているからです。

特例暫定欠損額37.5から過年度特例残存欠損額(例、20)をマイナスして、当期の特例残存欠損額(37.5-20=17.5)を計算します。

過年度特例残存欠損額をマイナスしているのは、過年度特例残存欠損額が特例費用額に含まれているからです。

当期を含む赤字(特例暫定欠損額37.5)から過去の赤字(過年度特例残存欠損額20)をマイナスして、当期の赤字(特例残存欠損額17.5)を計算しています。

参考規定

特例算定方法

第十九条 収益事業等を行う公益法人は、第二号に掲げる額(以下この条において「特例費用額」という。)が第一号に掲げる額(以下この条において「特例収入額」という。)を超えるときは、第十六条第一項の規定により算定すべき額に代えて、次項の規定により当該事業年度に係る特例残存欠損額を算定することができる。
一 次に掲げる額の合計額
イ 当該事業年度の損益計算書に計上すべき公益目的事業に係る経常収益(一般純資産に係るものに限る。)の額
ロ 当該事業年度の公益充実資金の取崩額
ハ 当該事業年度において公益目的保有財産を処分することにより得た額
ニ 当該事業年度に収益事業等から生じた収益(収益事業等における収益から、管理費のうち収益事業等に按分される額を控除した額)に百分の五十を乗じて得た額
二 次に掲げる額の合計額
イ 当該事業年度の損益計算書に計上すべき公益目的事業に係る経常費用(一般純資産に係るものに限る。)の額(公益目的保有財産に係る減価償却費の額が含まれる場合には、当該減価償却費の額を除く。)
ロ 当該事業年度の公益充実資金の積立額(その額が当該事業年度の末日における公益充実活動等(第二十三条第一項第一号に規定する公益充実活動等をいう。以下この条において同じ。)ごとに(1)に掲げる額から(2)に掲げる額を控除した額を当該事業年度開始の日から当該公益充実活動等の実施時期の開始の日までの期間の月数で除し、これに当該事業年度の月数(当該事業年度が当該開始の日の属する事業年度である場合には、当該事業年度開始の日から当該実施時期の開始の日までの期間の月数)を乗じて得た額の合計額(当該額が零を下回る場合には、零とする。)を超える場合には、その超える部分を控除した額)
(1) 当該事業年度の末日における当該公益充実活動等の所要額(第二十三条第一項第二号ロに規定する公益充実活動等ごとの所要額をいう。以下この条において同じ。)
(2) 当該事業年度の前事業年度の末日における公益充実資金の額を当該末日における積立限度額(第二十三条第一項第二号ロに規定する積立限度額をいう。)で除して得た額に当該末日における当該公益充実活動等の所要額を乗じた額(当該事業年度から公益充実資金の目的とされた公益充実活動等にあっては、零)
ハ 当該事業年度における公益目的保有財産の取得価額又は改良に要した額
ニ 過年度特例残存欠損額(当該事業年度の前事業年度における当該前事業年度以前の各事業年度(当該事業年度の開始の日前四年以内に開始した事業年度のうちこの項の規定により特例残存欠損額を算定した事業年度に限る。)に係る特例残存欠損額をいう。以下同じ。)の合計額

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第19条第1項、施行日令和7年4月1日

特例残存欠損額

2 公益法人の当該事業年度に係る特例残存欠損額は、第三号に掲げる額から第一号及び第二号に掲げる額の合計額を控除して得た額(以下「特例暫定欠損額」という。)から過年度特例残存欠損額の合計額を控除した額(当該合計額が当該特例暫定欠損額を超える場合には、零)とする。
一 特例収入額
二 当該事業年度に収益事業等から生じた収益から公益目的事業に繰り入れた額(特例費用額が特例収入額を上回る部分の額を上限とする。)から前項第一号ニの額を控除した額
三 特例費用額

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第19条第2項、施行日令和7年4月1日

編集後記

特例残存欠損額の第2号を読み間違えていました。

正しくは、

二 当該事業年度に収益事業等から生じた収益から公益目的事業に繰り入れた額(特例費用額が特例収入額を上回る部分の額を上限とする。)から

前項第一号ニの額(50%相当額のこと)

を控除した額

と読みます。

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