今回は、公益法人の特定費用準備資金の要件などを確認してみましょう。
特定費用準備資金の要件
特定費用準備資金は、次の5つの要件を全て満たす必要があります。
1、活動予定がある。
2、他の資金と明確に区分管理する。
3、目的外の取崩しが原則禁止で、取り崩す場合は特別の手続きが必要。
4、積立限度額が合理的。
5、3と4について、備置きや閲覧等の措置が必要。
新しい制度では、公益目的事業に関するものが特定費用準備資金の範囲から除外されているため、公益充実資金の要件を満たす必要があります。その他の要件については変更されていません。
特定費用準備資金の取り崩し
次の要件に該当する場合は、特定費用準備資金を取り崩す必要があります。
1、目的にあった支出があった場合
準備していた資金のうち、支出に達するまでの金額
・準備資金 1,000
・支出した金額 800
支出に達するまでの金額800を取り崩す必要があります。
2、年度末の積立限度額<準備していた資金の場合
準備していた資金のうち、下回る金額
・年度末の積立限度額 150
・準備していた資金 200
準備していた資金200のうち、下回る金額50を取り崩す必要があります。
3、正当な理由がなく特定の活動を実施しなかった場合、その事実があった日の準備していた資金
3の場合は、積立限度額が0円となります。積み立てる必要がなくなったからです。
吸収合併があった場合は、合併法人に引き継ぐ。
吸収合併があった場合、合併される法人(被合併法人)の合併前日の
・特定費用準備資金の額
・積立限度額
の2つは、合併法人の前年末の
・特定費用準備資金の額
・積立限度額
にそれぞれプラスする必要があります。
参考規定
特定費用準備資金の要件
3 第一項に規定する特定費用準備資金は、次に掲げる要件のすべてを満たすものでなければならない。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第31条第3項、施行日令和7年4月1日
一 当該資金の目的である活動を行うことが見込まれること。
二 他の資金と明確に区分して管理されていること。
三 当該資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること又は当該場合以外の取崩しについて特別の手続が定められていること。
四 積立限度額が合理的に算定されていること。
五 第三号の定め並びに積立限度額及びその算定の根拠について備置き及び閲覧等の措置が講じられていること。
特定費用準備資金の取り崩しの要件
4 特定費用準備資金(この項の規定により取り崩すべきこととなったものを除く。以下この条において同じ。)を有する公益法人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額に相当する資金を取り崩さなければならない。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第31条第4項、施行日令和7年4月1日
一 当該資金の目的の支出がなされた場合 当該資金の額のうち当該支出の額に達するまでの額
二 各事業年度終了の時における積立限度額が当該資金の額を下回るに至った場合 当該事業年度終了の時における当該資金の額のうちその下回る部分の額
三 正当な理由がないのに当該資金の目的である活動を行わない事実があった場合 その事実があった日における当該資金の額
特定の活動を止めた場合は、積立限度額が0円になる。
5 前項第三号の場合にあっては、当該事業年度以後の各事業年度の末日における積立限度額は零とする。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第31条第5項、施行日令和7年4月1日
吸収合併があった場合の特定費用準備資金と積立限度額の引継ぎ
6 公益法人が他の公益法人が消滅する合併を行った事業年度においては、当該他の公益法人の当該合併の日の前日における特定費用準備資金の額及び同日における積立限度額は、第一項第二号の特定費用準備資金の額及び積立限度額にそれぞれ加算する。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第31条第6項、施行日令和7年4月1日