今回は、公益法人の特定費用準備資金の計算を確認してみましょう。
特定費用準備資金って何?
将来の特定の活動費用に充てるための資金を「特定費用準備資金」といいます。資金という名前ですが、現預金以外の財産も含みます。
新しい制度では、将来の特定の活動から「公益目的事業に関するもの」が除外されます。公益目的事業に関する特定費用準備資金の制度がなくなった訳ではなく、新しい制度の公益充実資金に移行します。
参考リンク
・公益法人の公益充実資金
特定費用準備資金がある場合、一定の金額を費用として計上できます。
計算方法は、2つあります。
・費用にプラスする。
・費用からマイナスする。
先に費用にプラスする場合を確認してみましょう。
費用にプラスする場合
一定の金額は、第1号の金額-第2号の金額で計算します。
第1号
・当期末の実際の資金
・当期末の積立限度額(活動費用として必要な最低額)
上記2つのうちいずれか少ない金額
第2号
・前期末の実際の資金
・前期末の積立限度額(活動費用として必要な最低額)
数字を使って確認してみましょう。
第1号の金額、当期末の
・実際の資金 1,500
・積立限度額 1,600
いずれか少ない金額は、1,500です。
第2号の金額、前期末の
・実際の資金 1,000
・積立限度額 800
いずれか少ない金額は、800です。
第1号の金額1,500-第2号の金額800=700を費用にプラスします。
費用からマイナスする場合
一定の金額は、第2号の金額-第1号の金額で計算します。
数字を使って確認してみましょう。
第1号の金額、当期末の
・実際の資金 500
・積立限度額 700
いずれか少ない金額は、500です。
第2号の金額、前期末の
・実際の資金 1,200
・積立限度額 800
いずれか少ない金額は、800です。
第2号の金額800-第1号の金額500=300を費用からマイナスします。
参考規定
特定費用準備資金の増加として費用にプラスする場合
(特定費用準備資金)
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第31条第1項、施行日令和7年4月1日
第三十一条 公益法人が各事業年度の末日において特定費用準備資金(将来の特定の活動(公益目的事業に係るものを除く。)の実施のために特別に支出する費用(事業費又は管理費として計上されることとなるものに限るものとし、引当金の引当対象となるものを除く。以下この条において同じ。)に係る支出に充てるために保有する資金(当該資金を運用することを目的として保有する財産を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)を有する場合には、その事業等の区分に応じ、第一号の額から第二号の額を控除して得た額を当該事業年度の費用額に算入する。
一 当該事業年度の末日における当該資金の額又は同日における積立限度額(当該資金の目的である活動の実施に要する費用の額として必要な最低額をいう。以下同じ。)のうちいずれか少ない額
二 当該事業年度の前事業年度の末日における当該資金の額又は同日における積立限度額のうちいずれか少ない額
特定費用準備資金の減少として費用からマイナスする場合
2 前項の規定の適用を受けた公益法人は、前項の適用を受けた事業年度以後の各事業年度において、その事業等の区分に応じ、前項第二号の額から第一号の額を控除して得た額を当該事業年度の費用額から控除する。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第31条第2項、施行日令和7年4月1日