今回は、公益法人の資産取得資金を確認してみましょう。
資産取得資金って何?
公益目的事業を行うために必要な収益事業等に使用する財産を「法人活動保有財産」といいます。
この法人活動保有財産の取得に充てるための資金を「資産取得資金」といいます。資産取得資金は、最低限の資金に限ります。
新しい制度では、法人活動保有財産の取得に充てるための資金に限られており、公益目的保有財産の取得に充てるための資金が除外されています。特定費用準備資金制度と同じで、公益目的保有財産の取得に充てるための資金については、公益充実資金制度に移行します。
参考リンク
・公益法人の公益充実資金
資産取得資金は読替規定
資産取得資金の規定は、特定費用準備資金の規定を読み替える必要があります。
参考規定はこちら↓
4 資産取得資金については、第三十一条第三項から第五項までの規定を準用する。この場合において、同条第三項中「第一項に規定する特定費用準備資金」とあり、及び同条第四項中「特定費用準備資金」とあるのは「資産取得資金」と、同条第三項第一号中「活動を行う」とあるのは「財産を取得し、又は改良する」と、同項第四号及び第五号、同条第四項第二号並びに第五項中「積立限度額」とあるのは「当該資金の目的である財産の取得又は改良に必要な最低額」と、同条第四項第三号中「活動を行わない」とあるのは「財産を取得せず、又は改良しない」と読み替えるものとする。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第36条第4項、施行日令和7年4月1日
資産取得資金の要件
資産取得資金は、次の5つの全てを満たす必要があります。
1、法人活動保有財産を取得する予定がある。
2、他の資金と明確に区分管理する。
3、目的外の取崩しが原則禁止で、取り崩す場合は特別の手続きが必要。
4、法人活動保有財産の取得に必要な最低額が合理的に算定されている。
5、3と4について、備置きや閲覧等の措置が必要。
特定費用準備資金の要件とほとんど変わりません。
資産取得資金の取り崩し
次の要件に該当する場合は、資産取得資金を取り崩す必要があります。
1、目的にあった支出があった場合
2、年度末の必要な最低額<準備していた資金の場合
3、正当な理由がなく法人活動保有財産を取得しなかった場合
3の場合は、必要な最低額が0円となります。資金を積み立てる必要がなくなったからです。
参考リンク
・公益法人の特定費用準備資金の要件など
吸収合併があった場合
吸収合併があった場合、合併される法人(被合併法人)の
・特定費用準備資金の額
・積立限度額
の2つについては、合併法人に引き継がれます。
資産取得資金については、準用規定がないため、
・資産取得資金の額
・必要な最低額
の2つについては、合併法人に引き継がれないと考えられます。
参考規定
読替後の資産取得資金の要件
3 資産取得資金は、次に掲げる要件のすべてを満たすものでなければならない。
一 当該資金の目的である財産を取得し、又は改良することが見込まれること。
二 他の資金と明確に区分して管理されていること。
三 当該資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること又は当該場合以外の取崩しについて特別の手続が定められていること。
四 当該資金の目的である財産の取得又は改良に必要な最低額が合理的に算定されていること。
五 第三号の定め並びに当該資金の目的である財産の取得又は改良に必要な最低額及びその算定の根拠について備置き及び閲覧等の措置が講じられていること。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第31条第3項、施行日令和7年4月1日
読替後の資産取得資金の取り崩し義務
4 資産取得資金(この項の規定により取り崩すべきこととなったものを除く。以下この条において同じ。)を有する公益法人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額に相当する資金を取り崩さなければならない。
一 当該資金の目的の支出がなされた場合 当該資金の額のうち当該支出の額に達するまでの額
二 各事業年度終了の時における当該資金の目的である財産の取得又は改良に必要な最低額が当該資金の額を下回るに至った場合 当該事業年度終了の時における当該資金の額のうちその下回る部分の額
三 正当な理由がないのに当該資金の目的である財産を取得せず、又は改良しない事実があった場合 その事実があった日における当該資金の額
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第31条第4項、施行日令和7年4月1日
正当な理由がない場合は、必要な最低額は0円となる。
5 前項第三号の場合にあっては、当該事業年度以後の各事業年度の末日における当該資金の目的である財産の取得又は改良に必要な最低額は零とする。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第31条第5項、施行日令和7年4月1日