公益法人等が普通法人に合併された場合の合併前累積所得金額等


今回は、公益法人等が普通法人に合併された場合の
合併前累積所得金額等を確認します。

法人の区分

法人税については、次の区分があり、
それぞれ税金のかかり方が異なります。

1、公共法人(別表第1法人)
2、公益法人等(別表第2法人)
3、協同組合等(別表第3法人)
4、普通法人(その他の法人)

上記区分が異なる法人が合併した場合、
どのような特例があるのかを確認したいと思います。

特例の内容

公益法人等が普通法人等に移行する場合は、
特殊な計算(非収益事業の所得の清算課税)が必要です。

そのため、普通法人等に移行せずに普通法人等と合併すれば
特殊な計算が回避できるのでは?と考えるかもしれません。

移行の場合は法人税が一括課税されるのに対して、
合併の場合は法人税が一括課税されないとなると不合理ですので、
合併の場合にも移行と同様に特例が規定されています。

規定の内容は、


公益法人等を被合併法人、
普通法人や協同組合等を合併法人とする
適格合併があった場合には、

その被合併法人の
合併前累積所得金額又は合併前累積欠損金額は、

その内国法人(普通法人等のこと)の
その適格合併があった事業年度の
益金の額又は損金の額に算入する。


というものです。

適格合併に限定されているため、
非適格合併については、法人税の清算課税はありません。

通常、適格合併だと簿価引継ぎのため、法人税課税はありませんが、
今回確認した特例については、
合併法人側で課税されてしまうので、注意が必要です。

合併前累積所得金額と合併前累積欠損金額

累積所得金額は非収益事業の所得、
累積欠損金額は非収益事業の損失をいいます。

移行の場合
累積所得金額は益金算入、累積欠損金額は損金算入となります。

上記の課税関係に合わせて、
「合併前」累積所得金額は益金算入
「合併前」累積欠損金額は損金算入となります。

移転資産帳簿価額

移転資産帳簿価額は、
適格合併により被合併法人から引継ぎを受けた「資産の帳簿価額」をいいます。

適格合併の場合、合併時の価額ではなく帳簿価額を引き継ぎます。
帳簿価額の引き継ぎについては、税務上の金額を引き継ぎますので、
移転資産帳簿価額についても税務上の金額となります。

参考規定

合併前累積所得金額等の益金算入等

2 公益法人等を被合併法人とし、普通法人又は協同組合等である内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合には、当該被合併法人の当該適格合併前の収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額(次項において「合併前累積所得金額」という。)又は当該適格合併前の収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額(次項において「合併前累積欠損金額」という。)に相当する金額は、当該内国法人の当該適格合併の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。

法人税法64条の4

合併前累積所得金額等の定義

2 法第六十四条の四第二項に規定する収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額は、同項の内国法人の同項に規定する適格合併に係る移転資産帳簿価額(適格合併により被合併法人から引継ぎを受けた資産の帳簿価額をいう。以下この項及び次条第一項第四号ロにおいて同じ。)が移転負債帳簿価額等(適格合併により被合併法人から引継ぎを受けた負債の帳簿価額並びに当該適格合併に係る第八条第一項第五号ハ(資本金等の額)に定める金額及び第九条第二号(利益積立金額)に掲げる金額の合計額をいう。以下この項及び次条第一項第四号ロにおいて同じ。)を超える場合におけるその超える部分の金額(次条第二項において「合併前累積所得金額」という。)とし、法第六十四条の四第二項に規定する収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として政令で定めるところにより計算した金額は、同項の内国法人の同項に規定する適格合併に係る移転負債帳簿価額等が移転資産帳簿価額を超える場合におけるその超える部分の金額(次条第二項及び第三項において「合併前累積欠損金額」という。)とする。

法人税法施行令131条の4
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