公益法人等が普通法人等に移行した場合の帳簿価額の取扱い


今回は、公益法人等が普通法人等に移行した場合の
帳簿価額の取扱いを確認してみましょう。

普通法人等移行時資産等の取扱い

公益法人等が普通法人等に移行する場合の
移行時の資産や負債を「普通法人等移行時資産等」といいます。

普通法人等移行時資産等の取扱いを確認してみましょう。


普通法人等移行時資産等(注3)の帳簿価額は、
その普通法人等移行時資産等の価額として
その普通法人又は協同組合等に該当することとなつた時において
その帳簿に記載されていた金額とします。

注3、普通法人等移行時資産等
公共法人又は公益法人等が
普通法人又は協同組合等に該当することとなった場合の
その該当時において有する資産・負債
(公益法人等が普通法人又は協同組合等に該当することとなった場合にあっては、その収益事業以外の事業に属していた資産・負債に限る。)


公共法人については、法人税を納める必要がありません。
公益法人等については、収益事業課税のため
非収益事業の所得には法人税が課されません。

いずれも資産・負債の帳簿価額がないため、
この規定により帳簿価額を定めています。

公共法人が協同組合等に移行する場合

法令上、対象法人がたすき掛けで規定されています。

「公共法人若しくは公益法人等が
普通法人若しくは協同組合等に該当することとなつた場合」
とあり、次の4通りが考えられます。

移行前→移行後
1、公共法人→普通法人
2、公共法人→協同組合等
3、公益法人等→普通法人
4、公益法人等→協同組合等

改正のきっかけとなった土地改良区(公共法人)が
一般社団法人(営利型、普通法人)に移行する場合は、
上記1に該当します。

土地改良区が
・一般社団法人(非営利型、公益法人等)
・認可地縁団体(みなし公益法人等)
に移行する場合は、

「普通法人等移行時資産等」ではなく、
「公益法人等移行時資産等」に該当します。
(帳簿価額を引き継ぐ対象となる資産・負債が異なります。)

今回の土地改良法の改正については、
土地改良区(公共法人)が協同組合等に移行できる規定は
設けられていないため、現時点においても
公共法人が協同組合等に移行することはありませんが、

各法令の改正に備えて、
先行して法人税法が改正されています。

参考情報、財務省、法人税法等の改正、P268
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/explanation/PDF/p0250-0281.pdf

参考規定

法人税法施行令131条の6
転用資産等及び移行時資産等の帳簿価額

(転用資産等及び移行時資産等の帳簿価額)
第百三十一条の六 内国法人である公益法人等若しくは人格のない社団等のその収益事業以外の事業に属していた資産及び負債がその収益事業に属する資産及び負債となつた場合のその資産及び負債(以下この条において「転用資産等」という。)、公共法人が収益事業を行う公益法人等に該当することとなつた場合のその該当することとなつた時において有する資産及び負債(その収益事業に属する資産及び負債に限る。以下この条において「公益法人等移行時資産等」という。)又は公共法人若しくは公益法人等が普通法人若しくは協同組合等に該当することとなつた場合のその該当することとなつた時において有する資産及び負債(公益法人等が普通法人又は協同組合等に該当することとなつた場合にあつては、その収益事業以外の事業に属していた資産及び負債に限る。以下この条において「普通法人等移行時資産等」という。)の帳簿価額は、それぞれ当該転用資産等の価額としてその収益事業に関する帳簿に記載された金額、当該公益法人等移行時資産等の価額としてその収益事業を行う公益法人等に該当することとなつた時においてその帳簿に記載されていた金額又は当該普通法人等移行時資産等の価額としてその普通法人若しくは協同組合等に該当することとなつた時においてその帳簿に記載されていた金額とする。

法人税法施行令131条の6、転用資産等及び移行時資産等の帳簿価額
PAGE TOP