今回は、公益法人等と動画コンテンツ収入を確認してみましょう。
質疑応答事例
国税庁の質疑応答事例で、「公益法人等が、動画配信サービスを行うプラットフォーマーに動画コンテンツを提供し、収入を得る場合の課税関係」が公表されています。
国税庁、質疑応答事例、公益法人等が、動画配信サービスを行うプラットフォーマーに動画コンテンツを提供し、収入を得る場合の課税関係
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/21/21.htm
内容は、宗教法人が動画コンテンツをYouTube等にアップロードして、YouTubeから
・広告収入
・コメント収入
・スタンプ収入
の一部を受け取った場合、法人税がかかるのでしょうか?というもの。
結論は、無体財産権の提供等を行う事業にあたるため、法人税がかかります。
法令上、例外がある。
公益法人等は収益事業にのみ課税されるため、法人税がかかる事業が法令で列挙されています。無体財産権の提供等を行う事業に法人税がかかる規定はこちら↓
(収益事業の範囲)
法人税法施行令第5条第1項第33号、施行日令和6年11月18日
第五条 法第二条第十三号(定義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。
三十三 その有する工業所有権その他の技術に関する権利又は著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の譲渡又は提供(以下この号において「無体財産権の提供等」という。)のうち次に掲げるもの以外のものを行う事業
イ 国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対して行われる無体財産権の提供等
ロ 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、国立研究開発法人海洋研究開発機構その他特別の法令により設立された法人で財務省令で定めるものがその業務として行う無体財産権の提供等
ハ その主たる目的とする事業に要する経費の相当部分が無体財産権の提供等に係る収益に依存している公益法人等として財務省令で定めるものが行う無体財産権の提供等
原則として、法人税がかかりますが、
イ、ロ、ハの例外については、法人税がかかりません。
ハには、「主たる目的とする事業の経費が、無体財産権の提供等の収入に依存している公益法人等」とあります。
法人税法施行規則を確認してみましょう。
(無体財産権の提供等を行う事業で収益事業に該当しないものの範囲等)
法人税法施行規則第8条の2の2第2項、施行日令和6年11月18日
2 令第五条第一項第三十三号ハに規定する財務省令で定めるものは、同号に規定する無体財産権の提供等に係る収益の額がその行う事業(収益事業(同号に規定する無体財産権の提供等を行う事業を除く。)に該当する事業を除く。)に要する費用の額の二分の一に相当する額を超える公益法人等とする。
要約してみます。
1>2となる公益法人等
1、無体財産権の提供等の収益
2、行う事業(収益事業(無体財産権の提供等事業を除く)を除く)の費用の1/2
考え方
数字を使って確認してみましょう。
事業収入 270万円
・物品販売収入 70万円
・広告等収入 200万円
事業費用 270万円
・物品販売業 50万円
・無体財産権の提供等 120万円
・非収益事業 100万円
1、無体財産権の提供等の収益
広告等収入 200万円
2、費用の1/2
事業費用270万円-物品販売業50万円=220万円×1/2=110万円
3、判定
1>2に該当するため、無体財産権の提供等事業は収益事業に該当しない。
のような感じで判定するのでしょうね。