公益法人等の累積所得金額と累積欠損金額の特例


今回は、公益法人等の累積所得金額と累積欠損金額の特例を確認します。

規定の内容

公益法人等と普通法人は、
法人税のかかり方(課税範囲)が異なります。

公益法人等が普通法人等に移行したり、
普通法人等と合併したりした場合、
公益法人等で法人税の対象とならなかった所得や損失について、
移行時や合併時に清算する規定が設けられています。

今回は、この所得や損失の調整規定を確認したいと思います。

読みづらい規定なので、まとめます。


一定の場合における
前2項(法人税法64条の4第1項と第2項)の規定の適用については、

一定の方法で計算した金額は、

1、累積所得金額や合併前累積所得金額からマイナス
2、累積欠損金額や合併前累積欠損金額にプラス

します。


累積所得金額は益金算入となります。
一定の金額は、累積所得金額からマイナスできるため、
法人にとって有利な調整規定です。

参考
法人税法64条の4第1項、累積所得金額の益金算入等
法人税法64条の4第2項、合併前累積所得金額等の益金算入等

手続き規定

累積所得金額等の調整計算については、
手続き規定が設けられています。

その手続きは、
確定申告書に別表と金額を証明する書類の添付をすること。

別表と書類の添付がない場合は、
原則として調整計算ができません。

別表は、「別表14(9)公益法人等が普通法人等に移行する場合等の累積
所得金額又は累積欠損金額の益金又は損金算入等に関する明細書」を使用します。https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2023/pdf/14(09).pdf

計算欄は大きく分けて次の3つです。
1、公益認定が取り消された場合
2、移行法人が普通法人に該当する場合
3、社会医療法人の認定が取り消された場合

参考規定

累積所得金額等の調整計算

3 第一項の内国法人が公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第二十九条第一項若しくは第二項(公益認定の取消し)の規定によりこれらの規定に規定する公益認定を取り消されたことにより普通法人に該当することとなつた法人又は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第四十二条の三第一項(実施計画)に規定する実施計画に係る同項の認定を受けた医療法人である場合、前項の内国法人が公益社団法人又は公益財団法人を被合併法人とする同項に規定する適格合併に係る合併法人である場合
その他の政令で定める場合に該当する場合における前二項の規定の適用については、移行日又は当該適格合併の日以後に公益の目的又は同条第一項に規定する救急医療等確保事業に係る業務の継続的な実施のために支出される金額として政令で定める金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、累積所得金額若しくは合併前累積所得金額から控除し、又は累積欠損金額若しくは合併前累積欠損金額に加算する。

法人税法64条の4

手続き

4 前項の規定は、確定申告書に、同項に規定する政令で定める金額及びその計算に関する明細の記載があり、かつ、財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
5 税務署長は、前項の記載又は書類の添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載又は添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第三項の規定を適用することができる。

法人税法64条の4
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