共有物の譲渡とインボイス


今回は、共有物の譲渡についてインボイスの疑問点を確認します。

共有物の譲渡

1つの資産を複数で所有している状態を共有といいます。

インボイス制度に伴って、
共有物を譲渡した場合の取扱通達が公表されています。

(共有物の譲渡等における適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等の対価の額等)
3-5 適格請求書発行事業者が、適格請求書発行事業者以外の者である他の者と共同で所有する資産(以下「共有物」という。)の譲渡又は貸付けを行う場合には、当該共有物に係る資産の譲渡等の金額を所有者ごとに合理的に区分するものとし、適格請求書に記載する法第 57 条の4第1項第4号《適格請求書発行事業者の義務》に掲げる「課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額」及び同項第5号に掲げる「消費税額等」は、自己の部分に係る資産の譲渡等の金額に基づき算出することとなることに留意する。

消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達

「共有物に係る資産の譲渡等の金額を所有者ごとに合理的に区分する」とあります。

疑問点

建物をAが1/2、Bが1/2共有していた場合、譲渡金額を半分ずつに分けます。

この場合、税抜金額から1/2ずつに分けるのか、
税込金額から1/2ずつに分けるのか。

AとBが両方、インボイス発行事業者である場合や
インボイス発行事業者以外である場合は、問題ありません。

取扱通達のように、Aがインボイス発行事業者、
Bがインボイス発行事業者以外である場合の金額の決め方について
疑問が生じたので、まとめます。

税抜金額と税込金額の比較

譲渡金額2000万円が税抜きの場合、半分に分けると次のとおりです。
1、Aの譲渡金額 1000万円×1.1=1100万円(うち消費税100万円)
2、Bの譲渡金額 1000万円(うち消費税0円)
3、譲渡金額の合計 2100万円(うち消費税100万円)

譲渡金額2200万円が税込みの場合、半分に分けると次のとおりです。
1、Aの譲渡金額 1100万円(うち消費税100万円)
2、Bの譲渡金額 1100万円(うち消費税0円)
3、譲渡金額の合計 2200万円(うち消費税100万円)

1の方が正確に見えますが、正しい答えはないと思います。インボイス制度の問題ではなく、対価(売買金額)や按分の問題だからです。

共有ではなく、B単独に1000万円で売却するか、1100万円で売却するかは、取引金額の問題であって、インボイス制度は関係ありません。税抜金額が主流になりそうな気もしますが、必ず税抜金額とは限らないでしょうね。

現行制度では、税込金額を基に按分計算していると思います。インボイス制度に変わった後、税抜金額を基に按分計算するのは違和感があります。

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