出張旅費等とインボイス


今回は、出張旅費等の取扱いとインボイスを確認します。

出張旅費等の取扱い

現行の出張旅費等の取扱いについては、
業務上通常必要な部分に限り、課税仕入れの金額として
消費税の控除が可能です。

この取扱いは、
消費税法基本通達11-2-1(出張旅費、宿泊費、日当等)に定められています。

消費税法基本通達の対象となる取引は、次の3つです。
1、役員、使用人が勤務場所を離れて仕事するための旅費
2、役員、使用人が転任に伴う転居費用
3、就職者、退職者、死亡退職者の遺族に係る出張、転任に伴う転居費用

参考、消費税法基本通達11-2-1(出張旅費、宿泊費、日当等)

11-2-1 役員又は使用人(以下「使用人等」という。)が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族(以下11-2-1において「退職者等」という。)がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、事業者がその使用人等又はその退職者等に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱う。
(注)
1 「その旅行について通常必要であると認められる部分の金額」の範囲については、所基通9-3《非課税とされる旅費の範囲》の例により判定する。
2 海外出張のために支給する旅費、宿泊費及び日当等は、原則として課税仕入れに係る支払対価に該当しない。

消費税法基本通達11-2-1(出張旅費、宿泊費、日当等)

業務上通常必要な部分については、
所得税基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)で判定しますが、
判定の際、次の事項を勘案する必要があります。
1、役員、使用人の全てを通じてバランスが保たれているか。
2、同業種、同規模の事業者と比較して相当な金額かどうか。

参考、所得税基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)

(非課税とされる旅費の範囲)
9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

所得税基本通達9-3

参考、所得税法、出張旅費等の非課税

(非課税所得)
第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
四 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの

所得税法
インボイス制度の取扱い

インボイス制度に伴って、
「従業員等の出張旅費のうち課税仕入れとなるもの」は、
インボイスの保存がなくても消費税の控除が可能となります。

参考、請求書等の交付又は提供を受けることが困難な課税仕入れ

請求書等の交付又は提供を受けることが困難な課税仕入れ
第十五条の四 令第四十九条第一項第一号ニに規定する財務省令で定める課税仕入れは、次に掲げる課税仕入れとする。
二 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第十五号(定義)に規定する役員又は使用人(以下この号及び次号において「使用人等」という。)が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族(以下この号において「退職者等」という。)がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるために事業者がその使用人等又はその退職者等に対して支給する金品で、その旅行について通常必要であると認められる部分に係る課税仕入れ

消費税法施行規則、施行日令和5年10月1日

上記規定に伴って、次の通達が設けられます。内容は、廃止される消費税法基本通達11-2-1(出張旅費、宿泊費、日当等)とほとんど同じです。

参考、消費税法基本通達11-6-4
(通常必要であると認められる出張旅費、宿泊費、日当等)

11―6―4 規則第 15 条の4第2号《請求書等の交付を受けることが困難な課税仕入れ》に規定する「その旅行に必要な支出に充てるために事業者がその使用人等又はその退職者等に対して支給する金品」とは、例えば、事業者が、使用人等(同号に規定する「使用人等」をいう。以下 11―6―5までにおいて同じ。)又は退職者等(同号に規定する「退職者等」をいう。以下 11―6―5までにおいて同じ。)が次に掲げる旅行をした場合に、使用人等又は退職者等に出張旅費、宿泊費、日当等として支給する金品がこれに該当するのであるが、同号に規定する課税仕入れは、当該金品のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分に係るものに限られることに留意する。
⑴ 使用人等が勤務する場所を離れてその職務を遂行するために行う旅行
⑵ 使用人等の転任に伴う転居のために行う旅行
⑶ 退職者等のその就職又は退職に伴う転居のために行う旅行
(注) 同号に規定する「その旅行について通常必要であると認められる部分」の範囲は、所基通9―3《非課税とされる旅費の範囲》の例により判定する。

消費税法基本通達11-6-4
(通常必要であると認められる出張旅費、宿泊費、日当等)

注意点
通常必要な部分のうち課税仕入れとなる部分について
インボイスの保存が不要となります。インボイスの入手が困難だからです。

例えば、出張旅費等の合計が77,000円で内訳が次の場合
1、通常必要部分55,000円(うち課税仕入れ44,000円)
2、通常不要部分22,000円(うち課税仕入れ11,000円)

この場合、1の通常必要部分のうち44,000円については、
インボイスの保存がなくても、消費税の控除が可能です。

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