今回は、出資等減少分配があった場合の資本金等の額を確認してみましょう。
規定の概要
今回確認する規定は、こちらです。
十九 出資等減少分配(法第二十三条第一項第二号に規定する出資等減少分配をいう。以下この号において同じ。)に係る分配資本金額(当該出資等減少分配の直前の資本金等の額にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額が零を超え、かつ、イに掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額をいい、当該計算した金額が当該出資等減少分配による出資総額等の減少額として財務省令で定める金額(ロにおいて「出資総額等減少額」という。)を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。) イ 当該出資等減少分配の日の属する事業年度の前事業年度終了の時の資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額(当該終了の時から当該出資等減少分配の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(次条第一号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額)
法人税法施行令第8条第1項第19号、令和7年4月1日施行
ロ 出資総額等減少額(当該出資総額等減少額がイに掲げる金額を超える場合には、イに掲げる金額)
カッコ書きを外してみましょう。
十九 出資等減少分配(注1)に係る分配資本金額(注2)
イ 当該出資等減少分配の日の属する事業年度の前事業年度終了の時の資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額(注3)
ロ 出資総額等減少額(注4)第19号は、資本金等の額の減算項目です。出資等減少分配に係る分配資本金額については、資本金等の額が減ります。
出資等減少分配
「法第23条第1項第2号に規定する出資等減少分配」とあるため、法第23条第1項第2号を見てみましょう。
二 投資信託及び投資法人に関する法律第百三十七条(金銭の分配)の金銭の分配(出資総額等の減少に伴う金銭の分配として財務省令で定めるもの(第二十四条第一項第四号(配当等の額とみなす金額)において「出資等減少分配」という。)を除く。)の額投資信託及び投資法人に関する法律第137条の金銭の分配(出資総額等の減少に伴う金銭の分配として財務省令で定めるもの(第24条第1項第4号(配当等の額とみなす金額)において「出資等減少分配」という。)
1、投資信託及び投資法人に関する法律第137条の金銭の分配
2、出資総額等の減少に伴う金銭の分配として財務省令で定めるもの
とあるため、
財務省令(法人税施行規則)を確認してみましょう。
(金銭の分配のうち出資総額等の減少に伴うものの範囲)
第八条の四 法第二十三条第一項第二号(受取配当等の益金不算入)に規定する財務省令で定めるものは、投資信託及び投資法人に関する法律第百三十七条(金銭の分配)の金銭の分配のうち、同条第三項の規定により出資総額又は同法第百三十五条(出資剰余金)の出資剰余金の額から控除される金額があるもの(当該金額が一時差異等調整引当額(投資法人の計算に関する規則第三十九条第三項後段又は第六項後段(純資産の部の区分)の規定により同令第二条第二項第三十号(定義)に規定する一時差異等調整引当額として区分して表示される金額をいう。)の増加額と同額である当該金銭の分配を除く。)とする。1、投資信託及び投資法人に関する法律第137条の金銭の分配のうち、
2、同条第3項の規定により
・出資総額又は
・同法第135条の出資剰余金の額
から控除される金額があるもの
投資信託及び投資法人に関する法律第137条で、
「利益を超えて金銭の分配をすることができる。」とあり、
第3項で、
「当該利益を超えて投資主に分配された金額を、出資総額又は第百三十五条の出資剰余金の額から控除しなければならない。」とあります。
利益を超えた配当については、出資からマイナスされるため、法人税法では資本金等の額のマイナスとして取り扱われます。
分配資本金額
分配資本金額(注2)のカッコ書きを見てみましょう。
分配資本金額(当該出資等減少分配の直前の資本金等の額にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額が零を超え、かつ、イに掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額をいい、当該計算した金額が当該出資等減少分配による出資総額等の減少額として財務省令で定める金額(ロにおいて「出資総額等減少額」という。)を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。)カッコ書きを外します。
2つ規定されています。
1つ目
当該出資等減少分配の直前の資本金等の額にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(注1)を乗じて計算した金額をいい、2つ目
当該計算した金額が当該出資等減少分配による出資総額等の減少額として財務省令で定める金額(ロにおいて「出資総額等減少額」という。)を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。1つ目を算式に変えます。
出資等減少分配の直前の資本金等の額×一定の割合(注1)
一定の割合=ロの金額(分子)÷イの金額(分母)
1で計算した金額>出資総額等減少額の場合は、
超える部分の金額をマイナスします。
(出資総額等減少額が資本金等の額の減少額の上限となります。)
割合のルールは、資本の払戻しの減少割合のルールと同じです。
出資総額等減少額の計算は、法人税法施行規則を確認する必要があります。
イの金額(分母の計算)
イの金額を確認してみましょう。
イ 当該出資等減少分配の日の属する事業年度の前事業年度終了の時の資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を減算した金額(当該終了の時から当該出資等減少分配の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(次条第一号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額)算式に変えます。
前事業年度が終了した時の
1、資産の帳簿価額 5,000
2、負債の帳簿価額 4,000
3、イの金額(割合の分母) 1-2=1,000
となります。
カッコ書きの取扱いは、資本の払戻しとほとんど同じです。
資本金等の額や利益積立金額が変動した場合は、
変動した後の金額を計算に使用します。
ロの金額(分子の計算)
ロの金額を確認してみましょう。
ロ 出資総額等減少額(当該出資総額等減少額がイに掲げる金額を超える場合には、イに掲げる金額)出資総額等減少額の計算は、法人税法施行規則を確認する必要があります。
出資総額等減少額(ロの金額)>イの金額(分母)の場合は、
イの金額に変わります。割合の上限を100%とする規定です。
—
編集後記
今回確認した第19号の出資等減少分配と
第18号の資本の払戻しの取扱いは、似ています。
最近の新しいこと
・ハウス食品 推しの一品 ピリ辛トマトカレー
