今回は、分割があった場合の比較雇用者給与等支給額の調整計算を確認してみましょう。
比較雇用者給与等支給額の調整計算
賃上げ促進税制を利用する年度中に合併や分割があった場合、教育訓練費の調整計算が必要となります。
合併や分割があった場合の教育訓練費の調整計算に関する規定は、次の6つです。
租税特別措置法施行令第27条の12の5
・第12項、合併があった場合の調整計算
・第13項、月別教育訓練費
・第14項、分割があった場合の調整計算
・第15項、月別移転教育訓練費
・第16項、移転教育訓練費
・第17項、基準日
第18項には、比較雇用者給与等支給額の月数が異なる場合の調整計算が規定されています。
合併があった場合の比較雇用者給与等支給額の調整計算については、教育訓練費の調整計算と考え方が同じであるため、みなし規定(第19項)が設けられています。
今回確認する分割があった場合の調整計算については、第20項に規定されています。規定は最後に載せています。
内容
分割の場合は、
・分割法人等
・分割承継法人等
の2つの法人が登場します。
賃上げ促進税制は、
・前期の金額
・当期の金額
で比較計算が必要となります。
そのため、調整方法は4つあります。
規定の対象となる法人を確認してみましょう。
1、給与等基準日から適用年度終了の日までの期間内において行われた分割等に係る分割法人等
2、適用年度において行われた分割等(残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては、当該適用年度開始の日の前日から当該適用年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産が確定したもの)に係る分割承継法人等
3、給与等基準日から適用年度開始の日の前日までの期間内において行われた分割等(残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては、給与等基準日の前日から当該適用年度開始の日の前日を含む事業年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産が確定したもの)に係る分割承継法人等
1番について
・給与等基準日(前期の開始日)から
・適用年度終了日(当期の終了日)まで
の期間内の分割等に係る分割法人等とありますので、
・前期中に分割した分割法人等
・当期中に分割した分割法人等
の2つが調整計算の対象となります。
2番と3番について
・当期に分割により事業を承継した分割承継法人等
・前期に分割により事業を承継した分割承継法人等
この2つが調整計算の対象となります。
続きの規定を確認してみましょう。
当該適用法人の当該適用年度における比較雇用者給与等支給額の計算における法第四十二条の十二の五第五項第十一号の給与等の支給額(当該適用年度の月数と前事業年度の月数とが異なる場合には、第十八項第一号又は第二号イ若しくはロの給与等支給額)については、
対象となる法人の
当期の比較雇用者給与等支給額(前期給与)の計算で使用する
給与等の支給額(月数が異なる場合は調整後の金額)については、
という意味です。
続きの規定を確認してみましょう。
給与等基準日を第十四項各号の基準日と、給与等未経過法人を同項第二号の未経過法人と、給与等支給額(法人の事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう。)を同項の教育訓練費の額と、それぞれみなした場合における同項各号に掲げる法人の区分に応じ当該各号に定めるところによる。
・給与等基準日 → 基準日
・給与等未経過法人 → 未経過法人
・給与等支給額 → 教育訓練費
とそれぞれ取り扱った場合における
同項(租税特別措置法施行令第27条の12の5第14項)
各号(1号は分割法人等、2号は分割承継法人等)に掲げる
法人の区分(イが当期分割、ロが前期分割)に応じて
計算する必要があります。
参考規定など
分割があった場合の比較雇用者給与等支給額の調整計算
20 適用法人が給与等基準日から適用年度終了の日までの期間内において行われた分割等に係る分割法人等又は適用年度において行われた分割等(残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては、当該適用年度開始の日の前日から当該適用年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産が確定したもの)に係る分割承継法人等若しくは給与等基準日から適用年度開始の日の前日までの期間内において行われた分割等(残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては、給与等基準日の前日から当該適用年度開始の日の前日を含む事業年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産が確定したもの)に係る分割承継法人等に該当する場合の当該適用法人の当該適用年度における比較雇用者給与等支給額の計算における法第四十二条の十二の五第五項第十一号の給与等の支給額(当該適用年度の月数と前事業年度の月数とが異なる場合には、第十八項第一号又は第二号イ若しくはロの給与等支給額)については、給与等基準日を第十四項各号の基準日と、給与等未経過法人を同項第二号の未経過法人と、給与等支給額(法人の事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう。)を同項の教育訓練費の額と、それぞれみなした場合における同項各号に掲げる法人の区分に応じ当該各号に定めるところによる。
租税特別措置法施行令第27条の12の5第20項、施行日令和6年9月2日
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新しいこと
・南京町、ザージーパイ(台湾の唐揚げ)