当期に分割があった場合の賃上げ促進税制の比較教育訓練費_分割承継法人の調整計算


今回は、賃上げ促進税制のうち
分割承継法人等の比較教育訓練費の調整計算を確認してみましょう。

分割承継法人等の調整方法は2つあります。
・当期に分割等があった場合(イに規定)
・前期に分割等があった場合(ロに規定)

今回は、当期に分割があった場合を確認してみましょう。

当期に分割があった場合

規定を確認してみましょう。

二 分割承継法人等 当該分割承継法人等のイ及びロに規定する各調整対象年度ごとに当該分割承継法人等の当該各調整対象年度に係る教育訓練費の額に次に掲げる分割承継法人等の区分に応じそれぞれ次に定める金額を加算する。

租税特別措置法施行令第27条の12の5第14項第2号、施行日令和6年9月2日

各調整対象年度(前期)の教育訓練費から
次のイやロで計算した金額をプラスします。
(分割法人等の調整計算はマイナスです。)

イには、当期に分割があった場合の計算方法が規定されています。
(参考規定に掲載)

長い規定のため、カッコ書きを外してみましょう。

適用年度において行われた分割等(注1)に係る分割承継法人等 当該分割承継法人等の基準日から当該適用年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度(注2)については、当該分割承継法人等の当該各調整対象年度ごとに当該各調整対象年度に含まれる月の当該分割等に係る分割法人等の月別移転教育訓練費の額を合計した金額に当該分割等の日(注3)から当該適用年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれを当該適用年度の月数で除して計算した金額

算式に置き換えてみましょう。

A×B÷C

A、当該分割承継法人等の当該各調整対象年度ごとに当該各調整対象年度に含まれる月の当該分割等に係る分割法人等の月別移転教育訓練費の額を合計した金額

B、当該分割等の日()から当該適用年度終了の日までの期間の月数

C、当該適用年度の月数

当期に分割があった場合の分割承継法人の調整計算は、
合併があった場合の調整計算に似ています。

Aは、前期の月別移転教育訓練費の合計額です。
Bは、分割後の月数です。
Cは、当期の月数です。

前期の月別移転教育訓練費の合計額が120万円、
3月決算法人の分割等の日が8月1日の場合、

120万円(A)×8月(B)÷12月(C)=80万円をプラスします。

カッコ書きの内容

注1のカッコ書きを確認してみましょう。

注1、残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては、当該適用年度開始の日の前日から当該適用年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産が確定したもの

分割等には、現物分配(お金以外の資産の分配)が含まれます。

残余財産の全部の分配する現物分配については、
基準となる期間が修正されています。

基準となる期間は、
・当期の開始日の前日(例、3月決算法人の場合は3/31)から
・当期の終了日の前日(例、3月決算法人の場合は3/30)まで
となります。1日ずれるため注意しましょう。

注2のカッコ書きを確認してみましょう。

注2、当該分割承継法人等が未経過法人に該当する場合には、基準日から当該分割承継法人等の設立の日の前日までの期間を当該分割承継法人等の事業年度とみなした場合における当該事業年度を含む。イにおいて「調整対象年度」という。

原則として、前期が調整対象年度となります。未経過法人(設立して間もない法人)に該当する場合は、分割承継法人等が設立される前の一定期間も事業年度として取り扱われます。この設立前の一定期間も調整対象年度に含まれます。

注3のカッコ書きを確認してみましょう。

注3、残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては、その残余財産の確定の日の翌日

分割等には、現物分配(お金以外の資産の分配)が含まれます。残余財産の全部の分配する現物分配については、対象日が異なります。対象日は、残余財産の確定日の「翌日」となります。

参考規定

イ 適用年度において行われた分割等(残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては、当該適用年度開始の日の前日から当該適用年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産が確定したもの)に係る分割承継法人等 当該分割承継法人等の基準日から当該適用年度開始の日の前日までの期間内の日を含む各事業年度(当該分割承継法人等が未経過法人に該当する場合には、基準日から当該分割承継法人等の設立の日の前日までの期間を当該分割承継法人等の事業年度とみなした場合における当該事業年度を含む。イにおいて「調整対象年度」という。)については、当該分割承継法人等の当該各調整対象年度ごとに当該各調整対象年度に含まれる月の当該分割等に係る分割法人等の月別移転教育訓練費の額を合計した金額に当該分割等の日(残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては、その残余財産の確定の日の翌日)から当該適用年度終了の日までの期間の月数を乗じてこれを当該適用年度の月数で除して計算した金額

租税特別措置法施行令第27条の12の5第14項第2号イ、施行日令和6年9月2日


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