今回は、分割法人の資本金等の額の計算規定を確認してみましょう。
分割型分割があった場合の分割法人の資本金等の額
今回確認する規定は、最後に載せています。
長い規定ですので、カッコ書きを外してみましょう。
十五 分割法人の分割型分割の直前の資本金等の額に当該分割法人の当該分割型分割に係るイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(注1)を乗じて計算した金額(注2)
イ 分割型分割の日の属する事業年度の前事業年度(注3)終了の時の資産の帳簿価額から負債(注4)の帳簿価額を減算した金額(注5)
ロ 分割型分割の直前の移転資産(注6)の帳簿価額(注7)の合計額から移転負債(注8)の帳簿価額の合計額を控除した金額(注9)算式に変えてみましょう。
分割法人の分割型分割の直前の資本金等の額
×当該分割法人の当該分割型分割に係るイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(注1)を乗じて計算した金額(注2)資本金等の額の減算額
=資本金等の額×ロの金額(分子)÷イの金額(分母)
イの金額は、前事業年度が終了した時の
1、資産の帳簿価額 10,000
2、負債の帳簿価額 2,000
3、純資産価額 1-2=8,000です。
ロの金額は、分割直前の
1、移転資産の帳簿価額の合計額 2,000
2、移転負債の帳簿価額の合計額 400
3、移転した純資産価額 1-2=1,600です。
資本金等の額が5,000の場合、資本金等の額の減算額は、
5,000×1,600÷8,000(移転割合20%)=1,000となります。
カッコ書きの内容
カッコ書きは、全部で9つあります。今回は、一部確認してみましょう。
割合(注1)のカッコ書きを確認してみましょう。
割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額及びロに掲げる金額が零を超え、かつ、イに掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)3つ規定されています。
1つ目
資本金等の額≦0の場合は、移転割合が0%です。
資本金等の額(-100)×ロ÷イ(移転割合0%)
=資本金等の額の減算額は、0
2つ目
・資本金等の額>0
・ロの金額(分子)>0
・イの金額(分母)≦0
この場合は、移転割合が100%になります。
資本金等の額(100)×ロ(10)÷イ(-50)
=資本金等の額の減算額は、100
移転した純資産がプラスであれば、資本金等の額が全額移動(減少)したと考えます。
3つ目
小数点以下3位未満の端数は、切り上げます。
0.1246785 → 0.125
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負債(注4)のカッコ書き
負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む。)新株引受権は、会社計算規則第54条の2に規定されています。
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移転資産(注6)のカッコ書き
移転資産(当該分割型分割により当該分割法人から分割承継法人に移転をした資産をいう。)分割型分割により分割法人承継法人に移転した資産を「移転資産」といいます。
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移転負債(注8)のカッコ書き
移転負債(当該分割型分割により当該分割法人から当該分割承継法人に移転をした負債をいう。)分割型分割により分割法人承継法人に移転した負債を「移転負債」といいます。
参考情報
今回確認した規定は、こちら↓です。
十五 分割法人の分割型分割の直前の資本金等の額に当該分割法人の当該分割型分割に係るイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額及びロに掲げる金額が零を超え、かつ、イに掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額(当該分割型分割が適格分割型分割でない場合において、当該計算した金額が当該分割型分割により当該分割法人の株主等に交付した分割承継法人の株式(出資を含む。以下この条において同じ。)その他の資産の価額(法第六十二条第一項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)に規定する特定分割型分割にあつては、同項後段の規定により当該特定分割型分割に係る分割法人の株主等に交付したものとされる分割対価資産又は分割承継法人の株式の価額)を超えるときは、その超える部分の金額を減算した金額)
法人税法施行令第8条第1項第15号、令和7年4月1日施行
イ 分割型分割の日の属する事業年度の前事業年度(当該分割型分割の日以前六月以内に法第七十二条第一項(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等)に規定する期間(通算子法人にあつては、同条第五項第一号に規定する期間。以下この項及び次項第三号イにおいて同じ。)について同条第一項各号に掲げる事項を記載した中間申告書を提出し、かつ、その提出した日から当該分割型分割の日までの間に確定申告書を提出していなかつた場合には、当該中間申告書に係る同項に規定する期間)終了の時の資産の帳簿価額から負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む。)の帳簿価額を減算した金額(当該終了の時から当該分割型分割の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(次条第一号及び第六号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合にはその増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額とし、当該直前の時において調整対象通算法人の株式を有する場合には当該株式の修正前帳簿価額が修正帳簿価額に満たないときにおけるその満たない部分の金額を加算し、又は当該株式の修正前帳簿価額が修正帳簿価額を超えるときにおけるその超える部分の金額を減算した金額とする。)
ロ 分割型分割の直前の移転資産(当該分割型分割により当該分割法人から分割承継法人に移転をした資産をいう。)の帳簿価額(調整対象通算法人の株式にあつては、当該株式の修正帳簿価額を当該分割法人が当該直前に有していた当該調整対象通算法人の株式の数(出資にあつては、金額。ロにおいて同じ。)で除し、これに当該分割型分割により当該分割法人から当該分割承継法人に移転をした当該調整対象通算法人の株式の数を乗じて計算した金額)の合計額から移転負債(当該分割型分割により当該分割法人から当該分割承継法人に移転をした負債をいう。)の帳簿価額の合計額を控除した金額(当該金額がイに掲げる金額を超える場合(イに掲げる金額が零に満たない場合を除く。)には、イに掲げる金額)
