今回は、分社型分割があった場合の資本金等の額を確認してみましょう。
規定の概要
今回確認する規定は、こちら↓です。
七 分社型分割により移転を受けた資産(以下この号において「移転資産」という。)及び負債(以下この号において「移転負債」という。)の純資産価額(次に掲げる分社型分割の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいう。)から当該分社型分割による増加資本金額等(当該分社型分割により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する分社型分割にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)並びに当該分社型分割により分割法人に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいい、適格分社型分割により分割法人に分割承継親法人株式を交付した場合にあつては、その交付した分割承継親法人株式の当該適格分社型分割の直前の帳簿価額とする。)を減算した金額
法人税法施行令第8条第1項第7号、令和7年4月1日施行
イ 適格分社型分割に該当しない分社型分割(ロ及びハに掲げるものを除く。) 当該分社型分割により分割法人に交付した当該法人の株式その他の資産の価額の合計額
ロ 適格分社型分割に該当しない分社型分割のうち法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当しないもの(無対価分割に該当するものを除く。) 当該移転資産の価額から当該移転負債の価額を減算した金額
ハ 適格分社型分割に該当しない分社型分割のうち無対価分割で分割法人が当該法人の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式を除く。)の全部を保有する関係があるもの 当該移転資産(営業権にあつては、独立取引営業権に限る。)の価額(法第六十二条の八第一項に規定する資産調整勘定の金額を含む。)から当該移転負債の価額(同条第二項及び第三項に規定する負債調整勘定の金額を含む。)を控除した金額
ニ 適格分社型分割 当該適格分社型分割に係る分割法人の当該適格分社型分割の直前の当該移転資産の帳簿価額から当該移転負債の帳簿価額を減算した金額
長い規定のため、カッコ書きを省略してみましょう。
七 分社型分割により移転を受けた資産(注1)及び負債(注2)の純資産価額(注3)から当該分社型分割による増加資本金額等(注4)を減算した金額
算式に変えてみましょう。
1、純資産価額 1,000
2、増加資本金額等 600
3、資本金等の額の加算額 1-2=400
仕訳イメージ
資産 1,200 / 負債 200
/ 増加資本金額等 600
/ 資本金等の額の加算額 400 ← この部分を計算
分割型分割の場合と異なり、「分割法人の株式の分割純資産対応帳簿価額」の計算はありません。
純資産価額
純資産価額(注3)のカッコ書きを確認してみましょう。
純資産価額(次に掲げる分社型分割の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいう。)次に掲げる分社型分割は、次のイ、ロ、ハ、ニの4つです。
イ、適格分社型分割に該当しない分社型分割(ロとハを除外)
ロ、適格分社型分割に該当しない分社型分割のうち、一定の非適格合併等に該当しないもの(無対価分割を除外)
ハ、適格分社型分割に該当しない分社型分割のうち、無対価分割で一定のもの
ニ、適格分社型分割
分割型分割の規定とほとんど変わりません。
増加資本金額等
増加資本金額等(注4)のカッコ書きを見てみましょう。
増加資本金額等(当該分社型分割により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する分社型分割にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)並びに当該分社型分割により分割法人に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいい、適格分社型分割により分割法人に分割承継親法人株式を交付した場合にあつては、その交付した分割承継親法人株式の当該適格分社型分割の直前の帳簿価額とする。)もう一度カッコ書きを省略します。
(当該分社型分割により増加した資本金の額又は出資金の額並びに当該分社型分割により分割法人に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいい、適格分社型分割により分割法人に分割承継親法人株式を交付した場合にあつては、その交付した分割承継親法人株式の当該適格分社型分割の直前の帳簿価額とする。)2つ規定されています。
1つ目
当該分社型分割により増加した資本金の額又は出資金の額並びに当該分社型分割により分割法人に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいい、算式に変えてみましょう。
1、増加した資本金の額や出資金の額 400
2、分割法人に交付した金銭 100
3、1や2以外の資産 100
4、増加資本金額等 1+2+3=600
分社型分割のため、分割法人の株主等に交付しないところが分割型分割と異なります。
2つ目
適格分社型分割により分割法人に分割承継親法人株式を交付した場合にあつては、その交付した分割承継親法人株式の当該適格分社型分割の直前の帳簿価額とする。適格分社型分割により分割法人に「分割承継親法人株式」を交付した場合は、「分割承継親法人株式」の適格分社型分割直前の帳簿価額となります。
この部分は、分割型分割と同じで親法人株式の交付が可能です。
参考情報
次に掲げる分社型分割は、次の4つです。
イ 適格分社型分割に該当しない分社型分割(注5) 当該分社型分割により分割法人に交付した当該法人の株式その他の資産の価額の合計額
ロ 適格分社型分割に該当しない分社型分割のうち法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当しないもの(注6) 当該移転資産の価額から当該移転負債の価額を減算した金額
ハ 適格分社型分割に該当しない分社型分割のうち無対価分割で分割法人が当該法人の発行済株式又は出資(注7)の全部を保有する関係があるもの 当該移転資産(注8)の価額(注9)から当該移転負債の価額(注10)を控除した金額
ニ 適格分社型分割 当該適格分社型分割に係る分割法人の当該適格分社型分割の直前の当該移転資産の帳簿価額から当該移転負債の帳簿価額を減算した金額
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編集後記
分割対価資産を株主等に交付する分割型分割と分割対価資産を交付しない分社型分割の取扱いは、似ています。
