勤労学生の定義等と給与所得控除が改正される時期


今回は、勤労学生の定義等と給与所得控除が改正される時期を確認してみましょう。

原則は4月1日

法律が改正される時期は原則として4月1日ですが、一部の規定はそれぞれ別の日から施行されます。

改正案を見てみましょう。


(施行期日)
第一条 この法律は、令和七年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 次に掲げる規定 令和七年十二月一日
イ 第一条中所得税法第二条第一項第三十二号の改正規定、同項第三十三号の改正規定、同項第三十四号の改正規定(「四十八万円」を「五十八万円」に改める部分に限る。)
以下省略

次に掲げる規定は令和7年12月1日とあり、所得控除や給与所得控除に関する規定が列挙されています。

所得控除や給与所得控除に関する改正は令和7年分の所得税から反映されますが、月次の給料や賞与の源泉徴収に反映されないようになっています。

実際に法案を確認してみると施行日は12月1日。12月1日前に亡くなった場合や出国した場合(準確定申告の取扱い)は、どうなるのでしょうか?

勤労学生の定義等の経過措置

経過措置を確認してみましょう。

(勤労学生の定義等に関する経過措置)
第二条 第一条の規定による改正後の所得税法(以下「新所得税法」という。)第二条第一項(第三十二号、第三十三号及び第三十四号に係る部分に限る。)の規定は、令和七年分以後の所得税について適用し、令和六年分以前の所得税については、なお従前の例による。

カッコ書きの「~~に限る。」は、
第32号、勤労学生の合計所得金額、75万円→85万円
第33号、同一生計配偶者の合計所得金額、48万円→58万円
第34号、扶養親族の合計所得金額、48万円→58万円
の改正を指しています。

この部分の改正については、
・令和7年分以後の所得税
から反映させることになります。

12月1日前に確定申告書を提出した場合

経過措置を確認してみましょう。

2 令和七年十二月一日前に同年分の所得税につき所得税法第百二十五条又は第百二十七条の規定による確定申告書を提出した者及び同日前に同年分の所得税につき決定を受けた者は、当該確定申告書に記載された事項又は当該決定に係る事項(これらの事項につき同日前に更正があった場合には、その更正後の事項)につき新所得税法第二条第一項第三十二号、第三十三号又は第三十四号の規定の適用により異動を生ずることとなったときは、その異動を生ずることとなった事項について、同日から五年以内に、税務署長に対し、国税通則法第二十三条第一項の更正の請求をすることができる。

令和7年12月1日より前に
・年の中途で亡くなった場合の確定申告書を提出した人
・年の中途で出国した場合の確定申告書を提出した人
・決定を受けた人
については、令和7年12月1日から5年間、更正の請求が可能です。

給与所得に関する経過措置

経過措置を確認してみましょう。

(給与所得に関する経過措置)
第三条 新所得税法第二十八条の規定は、令和七年分以後の所得税について適用し、令和六年分以前の所得税については、なお従前の例による。

給与所得控除の改正についても、令和7年分以後の所得税から反映されます。

12月1日前に確定申告書を提出した場合

経過措置を確認してみましょう。

2 令和七年十二月一日前に同年分の所得税につき所得税法第百二十五条又は第百二十七条の規定による確定申告書を提出した者及び同日前に同年分の所得税につき決定を受けた者は、当該確定申告書に記載された事項又は当該決定に係る事項(これらの事項につき同日前に更正があった場合には、その更正後の事項)につき新所得税法第二十八条の規定の適用により異動を生ずることとなったときは、その異動を生ずることとなった事項について、同日から五年以内に、税務署長に対し、国税通則法第二十三条第一項の更正の請求をすることができる。

内容は、勤労学生の定義等の改正と同じです。

まとめ

原則
所得控除や給与所得控除の改正は、令和7年分の所得税から反映されます。

例外
施行日が令和7年12月1日のため、令和7年12月1日より前に確定申告書を提出する場合は、一度確定申告書を提出した後に更正の請求が必要となります。

令和6年分の定額減税と似たような取扱いです。

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