区分地上権に準ずる地役権に関する評価


今回は、区分地上権に準ずる地役権に関する評価を確認してみましょう。

区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の評価

通達を見てみましょう。

(5) 区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から27-5((区分地上権に準ずる地役権の評価))の定めにより評価したその区分地上権に準ずる地役権の価額を控除した金額によって評価する。

地役権(ちえきけん)の内容は、民法に規定されています。
(相続税法には地役権の定義がありません。)

(地役権の内容)
第二百八十条 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。

民法第280条、令和7年10月1日施行

自分の土地の利用価値を増やすために他人の土地を使用する権利です。例えば、公道に出るための通行地役権などがあります。

地役権が設定されている土地を承役地(しょうえきち)といいます。

承役地の定義は、民法第285条(用水地役権)に規定されています。

承役地(地役権者以外の者の土地であって、要役地の便益に供されるものをいう。以下同じ。)

要役地(ようえきち)の定義は、民法第281条(地役権の付従性)に規定されています。

要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)

地役権を設定した人(地役権者)から見た自分の土地が要役地、
他人の土地が承役地です。

通達の内容を算式に変えます。

承役地である宅地の価額=
1、自用地としての価額
2、27-5((区分地上権に準ずる地役権の評価))の定めにより評価した
その区分地上権に準ずる地役権の価額

自用地として価額から、地役権を
マイナスした金額が承役地の宅地の価額となります。

自分の土地が他人に使用されるため、土地の評価が下がります。

区分地上権に準ずる地役権の評価

地役権の評価については、通達27-5を見てみましょう。

(区分地上権に準ずる地役権の評価)
27-5 区分地上権に準ずる地役権の価額は、その区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の自用地としての価額に、その区分地上権に準ずる地役権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権に準ずる地役権の割合」という。)を乗じて計算した金額によって評価する。
 この場合において、区分地上権に準ずる地役権の割合は、次に掲げるその承役地に係る制限の内容の区分に従い、それぞれ次に掲げる割合とすることができるものとする。
(1) 家屋の建築が全くできない場合 100分の50又はその区分地上権に準ずる地役権が借地権であるとした場合にその承役地に適用される借地権割合のいずれか高い割合
(2) 家屋の構造、用途等に制限を受ける場合 100分の30

算式に変えます。

区分地上権に準ずる地役権の価額=1×2
1、承役地である宅地の自用地としての価額
2、区分地上権に準ずる地役権の割合

例外により、次の(1)と(2)の割合で計算が可能です。

(1)家屋の建築が全くできない場合は、
A、50%
B、区分地上権に準ずる地役権を借地権と仮定した場合の借地権割合
C、AとBを比較して高い割合

(2)家屋の建築はできるが、構造や用途等に制限を受ける場合
30%

参考情報

財産評価基本通達9、土地の上に存する権利の評価上の区分

(4) 区分地上権に準ずる地役権(地価税法施行令第2条≪借地権等の範囲≫第1項に規定する地役権をいう。以下同じ。)

地価税法施行令第2条

(借地権等の範囲)
第二条 法第二条第二号イに規定する政令で定める権利は、特別高圧架空電線の架設、高圧のガスを通ずる導管の敷設、飛行場の設置、建築物の建築その他の目的のため地下又は空間について上下の範囲を定めて設定された地役権で、建造物の設置を制限するものとする。

地価税法施行令第2条、令和7年7月22日施行

1、特別高圧架空電線の架設
2、高圧のガスを通ずる導管の敷設
3、飛行場の設置
4、建築物の建築
が例示です。

その他の目的のため地下や空間について
上下の範囲を定めて設定された地役権で、
建造物の設置を制限するものとする。

法第二条第二号イに規定するとあるため、地価税法を見てみましょう。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
二 借地権等 借地権のほか、国内にある土地の上に存する権利その他これに類するもので、次に掲げるものをいう。
イ 地上権(民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十九条の二第一項(地下又は空間を目的とする地上権)の地上権に準ずる地役権その他の権利で政令で定めるものを含む。)

地価税法第2条第2号イ、令和7年6月1日施行

借地権等=借地権+
借地権に類するもの(地上権の中に区分地上権に準ずる地役権が含まれる。)

参考情報、国土交通省、土地利用制限率算定要領
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk1_000023.html

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