収用交換等に伴い代替資産を取得した場合の更正の請求、修正申告等


今回は、個人の「収用交換等に伴い代替資産を取得した場合の更正の請求、修正申告等」を確認します。

内容

収用交換等の課税の繰延べについては、
実際に代替資産を取得する前に見込みの金額で使用することができます。

ただし、実際に代替資産を取得しなかったり見込みで計算した金額と
代替資産を取得した金額が異なる場合は、
実際の金額で再計算をする必要があります。

一度、見込みの金額で確定申告していますので、
修正申告か更正の請求の手続きとなります。

規定の概要

規定は次の4つです。

  1. 修正申告の義務
  2. 税務署長の更正
  3. 国税通則法の取扱い
  4. 更正の請求
修正申告の義務

見込みの金額で収用交換等の課税の繰延べを適用した人は、
一定の日から4月以内に収用交換等のあった日の属する年分の所得税について、
修正申告書の提出と所得税の納付が必要となります。

一定の日とは、次の2つです。

1、実際の取得金額<見積りの金額となる場合
 実際に代替資産を取得した日

2、取得指定期間内に代替資産を取得しなかった場合
 取得指定期間内を経過した日

参考、取得指定期間の定義

取得指定期間(収用等のあつた日の属する年の翌年一月一日から収用等のあつた日以後二年を経過した日までの期間(当該収用等に係る事業の全部又は一部が完了しないこと、工場等の建設に要する期間が通常二年を超えることその他のやむを得ない事情があるため、当該期間内に代替資産の取得をすることが困難である場合で政令で定める場合には、当該代替資産については、同年一月一日から政令で定める日までの期間)をいう。)

租税特別措置法33条3項

原則として、収用等のあった日の属する年の翌年1月1日から
「収用等のあった日」以後2年を経過した日までの期間をいいます。

 収用    1/1        2年経過日
--×----|-------|--×----|
       |----------|
          取得指定期間

翌年1月1日から2年以内でも、
確定申告期限まででもないため注意しましょう。

税務署長の更正

上記の修正申告については義務となります。
修正申告書を提出しなかった場合には、
税務署長が調査した上で金額を再計算(更正・再更正)します。

更正の請求

先に修正申告の反対の更正の請求を確認します。

見込みの金額で収用交換等の課税の繰延べを適用した人は、
一定の日から4月以内に収用交換等のあった日の属する年分の所得税について、
更正の請求が可能です。

一定の日とは、

1、実際の取得金額>見積りの金額となる場合
 実際に代替資産を取得した日となります。

修正申告は義務ですが、更正の請求は任意です。
そのため、税務署長の更正(再計算)の規定はありません。

国税通則法の取扱い

国税通則法の取扱いは、次の3つです。

1、4月以内の収用交換等の修正申告は、期限内の申告として取り扱われます。

2、収用交換等の修正申告を4月以内にしなかった場合は、延滞税や過少申告加算税の計算を修正します。

1が期限内申告、2が期限後申告です。

3、4月経過後の修正申告や修正申告しなかった場合の更正であっても、
無申告加算税などの規定は使用されません。

参考規定

(収用交換等に伴い代替資産を取得した場合の更正の請求、修正申告等)
第三十三条の五 第三十三条第三項(第三十三条の二第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用を受けた者は、次の各号に掲げる場合に該当する場合には、それぞれ、当該各号に定める日から四月以内に当該収用交換等のあつた日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し、かつ、当該期限内に当該申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならない。
一 代替資産の取得をした場合において、当該資産の取得価額が第三十三条第三項の規定により読み替えられた同条第一項に規定する取得価額の見積額に満たないとき 当該資産の取得をした日
二 第三十三条第三項に規定する取得指定期間内に代替資産の取得をしなかつた場合 当該取得指定期間を経過した日

2 前項各号に掲げる場合に該当することとなつた場合において、修正申告書の提出がないときは、納税地の所轄税務署長は、当該申告書に記載すべきであつた所得金額、所得税の額その他の事項につき国税通則法第二十四条又は第二十六条の規定による更正を行う。

3 第一項の規定による修正申告書及び前項の更正に対する国税通則法の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 当該修正申告書で第一項に規定する提出期限内に提出されたものについては、国税通則法第二十条の規定を適用する場合を除き、これを同法第十七条第二項に規定する期限内申告書とみなす
二 当該修正申告書で第一項に規定する提出期限後に提出されたもの及び当該更正については、国税通則法第二章から第七章までの規定中「法定申告期限」とあり、及び「法定納期限」とあるのは「租税特別措置法第三十三条の五第一項に規定する修正申告書の提出期限」と、同法第六十一条第一項第一号中「期限内申告書」とあるのは「租税特別措置法第二条第一項第十号に規定する確定申告書」と、同条第二項中「期限内申告書又は期限後申告書」とあるのは「租税特別措置法第三十三条の五第一項の規定による修正申告書」と、同法第六十五条第一項、第三項第二号及び第四項第二号中「期限内申告書」とあるのは「租税特別措置法第二条第一項第十号に規定する確定申告書」とする。
三 国税通則法第六十一条第一項第二号及び第六十六条の規定は、前号に規定する修正申告書及び更正には、適用しない

4 第三十三条第三項の規定の適用を受けた者は、同項に規定する取得指定期間内に代替資産の取得をした場合において、その取得価額が同項の規定により読み替えられた同条第一項に規定する取得価額の見積額に対して過大となつたときは、当該代替資産の取得をした日から四月以内に、納税地の所轄税務署長に対し、その収用交換等のあつた日の属する年分の所得税についての更正の請求をすることができる

租税特別措置法
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