収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除_その1


今回は、個人の「収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除」を確認します。

内容

収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除(措置法33条の4)は、課税の繰延べ制度ではなく、譲渡益から5000万円を控除できる制度です。土地などの資産の売却益が5000万円以下であれば税金がかかりません。

カッコ書きが長いためカッコを外して確認します。

個人の有する資産で第33条第1項(収用等の課税の繰延べ)又は第33条の2第1項(交換処分等の課税の繰延べ)に規定するものが、特例の要件に該当することとなった場合(注1)において、その者がその年中にその該当することとなった資産のいずれについても特例の適用を受けないとき(注2)は、これらの全部の資産の収用交換等による譲渡に対する所得税法等の特例の適用については次に定めるところによります。

1、長期譲渡所得の金額(分離課税)-5000万円
2、短期譲渡所得の金額(分離課税)-5000万円
3、山林所得のうち収用交換等による譲渡所得-5000万円
4、譲渡所得の金額(総合課税)-5000万円

収用等の特例に該当する譲渡益については、
1、課税の繰延べ
2、5000万円の特別控除
のいずれかが選択することが可能です。

注1、譲渡とみなされる場合を含みます。

注2、交換処分等の特例(措置法33条の2)の規定の適用を受けず、かつ、収用等の特例(措置法33条)の規定の適用を受けた場合において、修正申告等の特例(措置法33条の5)により修正申告したことにより、収用等の特例(措置法33条)の規定の適用を受けないこととなるときを含む。

特例制度の変更について

注2は、特例制度の変更に関する規定です。

収用等の特例については、課税の繰延べ(措置法33条)から
特別控除(措置法33条の4)に切り替えることができます。

あくまでも切り替えですので、両方選択できません。

例えば、代替資産を取得する予定で収用等の課税の繰延べ(措置法33条)を使用したが、代替資産を取得しなかった場合、課税の繰延べの使用を取り止めることによって、収用等の特別控除を使用することが可能です。

5000万円の控除方法

収用等の特別控除は、2回以上使用することができます。ただし、5000万円を複数回マイナスしないで、合計5000万円となるようにマイナスします。

2 前項の場合において、当該個人のその年中の収用交換等による資産の譲渡について同項各号のうち二以上の号の規定の適用があるときは、同項各号の規定により控除すべき金額は、通じて五千万円の範囲内において、政令で定めるところにより計算した金額とする。

租税特別措置法33条の4

マイナスの方法

1、措置法33条の4第1項2号(分離、短期)
2、措置法33条の4第1項4号(総合、譲渡)
3、措置法33条の4第1項3号(山林)
4、措置法33条の4第1項1号(分離、長期)

内容の1~4のことです。

2の総合譲渡の中に、短期(1号)と長期(2号)がある場合は、
短期(1号)の所得からマイナスします。

参考規定

第二十二条の四 法第三十三条の四第二項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、五千万円の範囲内において、まず同条第一項第二号の規定により控除すべき金額から成るものとし、同号の規定の適用がない場合又は同号の規定により控除すべき金額が五千万円に満たない場合には、五千万円又は当該満たない部分の金額の範囲内において、順次同項第四号、第三号又は第一号の規定により控除すべき金額から成るものとして計算した金額とする。この場合において、同項第四号に規定する残額に相当する金額のうちに所得税法第三十三条第三項第一号に掲げる所得に係る部分の金額と同項第二号に掲げる所得に係る部分の金額とがあるときは、まず同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。

租税特別措置法施行令22条の4

その2に続きます。

参考規定

第三十三条の四 個人の有する資産で第三十三条第一項各号又は第三十三条の二第一項各号に規定するものがこれらの規定に該当することとなつた場合(第三十三条第四項の規定により同項第一号に規定する土地等、同項第二号若しくは第三号に規定する土地の上にある資産若しくはその土地の上にある建物に係る配偶者居住権又は同項第四号に規定する権利につき収用等による譲渡があつたものとみなされた場合、前条第三項の規定により旧資産又は旧資産のうち同項の政令で定める部分につき収用等による譲渡があつたものとみなされた場合及び同条第五項の規定により防災旧資産のうち同項の政令で定める部分につき収用等による譲渡があつたものとみなされた場合を含む。)において、その者がその年中にその該当することとなつた資産のいずれについても第三十三条又は第三十三条の二の規定の適用を受けないとき(同条の規定の適用を受けず、かつ、第三十三条の規定の適用を受けた場合において、次条第一項の規定による修正申告書を提出したことにより第三十三条の規定の適用を受けないこととなるときを含む。)は、これらの全部の資産の収用等又は交換処分等(以下この款において「収用交換等」という。)による譲渡に対する第三十一条若しくは第三十二条又は所得税法第三十二条若しくは第三十三条の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 第三十一条第一項中「長期譲渡所得の金額(」とあるのは、「長期譲渡所得の金額から五千万円(長期譲渡所得の金額のうち第三十三条の四第一項の規定に該当する資産の譲渡に係る部分の金額が五千万円に満たない場合には、当該資産の譲渡に係る部分の金額)を控除した金額(」とする。
二 第三十二条第一項中「短期譲渡所得の金額(」とあるのは、「短期譲渡所得の金額から五千万円(短期譲渡所得の金額のうち第三十三条の四第一項の規定に該当する資産の譲渡に係る部分の金額が五千万円に満たない場合には、当該資産の譲渡に係る部分の金額)を控除した金額(」とする。
三 所得税法第三十二条第三項の山林所得に係る収入金額から必要経費を控除した残額は、当該資産の譲渡に係る当該残額に相当する金額から五千万円(当該残額に相当する金額が五千万円に満たない場合には、当該残額に相当する金額)を控除した金額とする。
四 所得税法第三十三条第三項の譲渡所得に係る収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除した残額は、当該資産の譲渡に係る当該残額に相当する金額から五千万円(当該残額に相当する金額が五千万円に満たない場合には、当該残額に相当する金額)を控除した金額とする。

租税特別措置法
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