収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例_みなし対価補償金


今回は、個人の「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」の
対価補償金とみなされる場合を確認してみましょう。

対価補償金とみなす場合

課税の繰延べの対象となる補償金等は、対価補償金です。
対価補償金に該当しない補償金は、原則として課税の繰延べができません。

今回の規定は、一定の事由に該当する補償金等を
課税の対象となる対価補償金として取扱う特例です。

一定の事由は4パターン。
1が収用等により不動産等の貸付けを行った場合に、その貸付けが譲渡所得となるもの。2から4までが一定の資産と配偶者居住権関係です。

2から4までの場合、資産の価値減少や損失に伴う補償金等であっても
実質的に対価補償金と変わらないため、課税の繰延べが認められています。

譲渡所得となる不動産等の貸付けであっても特例が使用できない場合(1号除外)

都市再開発法による第2種市街地再開発事業(注1)の施行に伴い、土地等が使用され、補償金を取得する場合(注2)において、その再開発会社の株主又は社員の有する土地等が使用され、補償金等を取得するときは、課税の繰延べが使用できません。

注1、その施行者が再開発会社であるものに限る。
注2、土地等について使用の申出を拒むときは都市計画法69条の規定により適用される土地収用法の規定に基づいて使用されることとなる場合において、その土地等が契約により使用され、対価を取得するときを含む。

株主又は社員の土地等を貸し付けて、補償金等を受け取る場合
↓ → 譲渡所得であっても、課税の繰延べ不可

再開発会社(第2種市街地再開発事業の施行者)

21 法第三十三条第四項第一号に規定する政令で定める場合は、都市再開発法による第二種市街地再開発事業(その施行者が再開発会社であるものに限る。)の施行に伴い、土地等が使用され、補償金を取得する場合(土地等について使用の申出を拒むときは都市計画法第六十九条の規定により適用される土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の規定に基づいて使用されることとなる場合において、当該土地等が契約により使用され、対価を取得するときを含む。)において、当該再開発会社の株主又は社員の有する土地等が使用され、補償金又は対価を取得するときとする。

租税特別措置法施行令22条、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例

(都市計画事業のための土地等の収用又は使用)
第六十九条 都市計画事業については、これを土地収用法第三条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用する。

都市計画法

(土地を収用し、又は使用することができる事業)
第三条 土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業は、次の各号のいずれかに該当するものに関する事業でなければならない。
以下省略

土地収用法
2号除外

1、市街地再開発事業(その施行者が再開発会社であるものに限る。)の施行に伴う一定のもの

2、土地区画整理事業(その施行者が区画整理会社であるものに限る。)の施行に伴う一定のもの

3、防災街区整備事業(その施行者が事業会社であるものに限る。)の施行に伴う一定のもの

1号除外と同様に株主や社員は除外されますが、
株主や社員であっても一定の場合は、除外されなくなります。

株主や社員であっても、各種事業の当事者となる場合は、
他の人たちと同様に課税の繰延べが可能なのでしょう。

4号除外

1、市街地再開発事業(その施行者が再開発会社であるものに限る。)の施行に伴う一定のもの

2、防災街区整備事業(その施行者が事業会社であるものに限る。)の施行に伴う一定のもの

1号除外と同様に、株主や社員は除外されますが、
株主や社員であっても一定の場合は除外されなくなります。
理由は2号除外と同じでしょう。

参考規定

4 個人の有する資産が次の各号に掲げる場合に該当することとなつた場合には、第一項(前二項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、第一号の場合にあつては同号に規定する土地等、第二号又は第三号の場合にあつてはこれらの号に規定する土地の上にある資産又はその土地の上にある建物に係る配偶者居住権、第四号の場合にあつては同号に規定する権利(第二号から第四号までに規定する補償金がこれらの資産の価額の一部を補償するものである場合には、これらの資産のうちその補償金に対応するものとして政令で定める部分)について、収用等による譲渡があつたものとみなす。この場合においては、第一号、第二号若しくは第四号に規定する補償金若しくは対価の額又は第三号に規定する補償金の額をもつて、第一項に規定する補償金、対価又は清算金の額とみなす。

一 土地等が土地収用法等の規定に基づいて使用され、補償金を取得する場合(土地等について使用の申出を拒むときは土地収用法等の規定に基づいて使用されることとなる場合において、当該土地等が契約により使用され、対価を取得するときを含む。)において、当該土地等を使用させることが譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けに該当するとき政令で定める場合に該当する場合を除く。)

二 土地等が第一項第一号から第三号の三までの規定、前号の規定若しくは次条第一項第二号若しくは第三十三条の三第一項の規定に該当することとなつたことに伴い、その土地の上にある資産につき、土地収用法等の規定に基づく収用をし、若しくは取壊し若しくは除去をしなければならなくなつた場合又は第一項第八号に規定する法令の規定若しくは大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(平成十二年法律第八十七号)第十一条の規定に基づき行う国若しくは地方公共団体の処分に伴い、その土地の上にある資産の取壊し若しくは除去をしなければならなくなつた場合において、これらの資産若しくはその土地の上にある建物に係る配偶者居住権(当該配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利を含む。以下この号及び次号並びに次条第一項第一号において同じ。)の対価又はこれらの資産若しくはその土地の上にある建物に係る配偶者居住権の損失に対する補償金で政令で定めるものを取得するとき政令で定める場合に該当する場合を除く。)

三 土地等が第三十三条の三第九項の規定に該当することとなつたことに伴い、その土地の上にある資産が土地区画整理法第七十七条の規定により除却される場合において、当該資産又はその土地の上にある建物に係る配偶者居住権の損失に対して、同法第七十八条第一項の規定による補償金を取得するとき。

四 配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地等が第一項第一号、第二号、第三号の二若しくは第三号の三の規定若しくは第一号の規定に該当することとなつたことに伴い当該土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利の価値が減少した場合又は配偶者居住権の目的となつている建物が同項第一号、第二号若しくは第五号の規定に該当することとなつたことに伴い当該建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利が消滅した場合において、これらの権利の対価又はこれらの権利の損失に対する補償金で政令で定めるものを取得するとき(第二号に掲げる場合又は政令で定める場合に該当する場合を除く。)

租税特別措置法33条、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例

参考規定の要約

個人の有する資産が次の各号に掲げる場合に該当することとなった場合には、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(第1項)の規定の適用については、

第1号の場合にあっては第1号の土地等、

第2号、第3号の場合にあっては土地等の上にある資産、
土地等の上にある建物に係る配偶者居住権、

第4号の場合にあっては第4号の権利(注1)

について、収用等による譲渡があったものとみなされます。

この場合においては、
第1号、第2号若しくは第4号に規定する補償金若しくは対価の額
又は
第3号に規定する補償金の額
をもって、第1号に規定する補償金等の額とみなされます。

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