今回は、受け取った保険金で固定資産を買った場合の圧縮記帳のうち、同一種類の判定を確認してみましょう。
同一種類かどうかの判定
受け取った保険金で固定資産を買った場合、受け取った保険金の法人税の課税を遅らせるために、経費の先行計上が可能です。圧縮記帳といいます。
保険金の圧縮記帳については、事業年度が終わるまでに滅失や損壊した固定資産の代わりの固定資産を取得する必要があります。
代わりの固定資産は、所有していた固定資産と同一の種類である必要があります。別の種類だと圧縮記帳ができなくまります。
何を基準に同一の種類とするのかが、法人税基本通達で公表されています。
(同一種類かどうかの判定)
法人税基本通達10-5-3、同一種類かどうかの判定
10-5-3 法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定の適用上、法人が取得等をした固定資産がその滅失等をした所有固定資産と同一種類の固定資産であるかどうかは、耐用年数省令別表第一に掲げる減価償却資産にあっては同表に掲げる種類の区分が同じであるかどうかにより、機械及び装置にあっては減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令(平成20年財務省令第32号)による改正前の耐用年数省令(以下10-6-7において「旧耐用年数省令」という。)別表第二に掲げる設備の種類の区分が同じであるか又は類似するものであるかどうかによる。(昭55年直法2-15「二十一」により追加、平14年課法2-1「二十五」、平20年課法2-5「二十一」により改正)
・法第47条第1項は、保険金等の圧縮記帳
・法第47条第5項は、適格分割等があった場合
の規定です。
別表第一の減価償却資産
「耐用年数省令別表第一に掲げる減価償却資産にあっては同表に掲げる種類の区分が同じであるかどうか」で判断します。
耐用年数省令は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令のことです。別表第一は、「機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表」を指します。
同表に掲げる「種類の区分」が同じであるかどうかとありますので、種類を確認してみましょう。
- 建物
- 建物附属設備
- 構築物
- 船舶
- 航空機
- 車両及び運搬具
- 工具
- 器具及び備品
機械装置
機械装置の判断基準は、上記の固定資産の基準と異なります。
機械及び装置にあっては減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令(平成20年財務省令第32号)による改正前の耐用年数省令(以下10-6-7において「旧耐用年数省令」という。)別表第二に掲げる設備の種類の区分が同じであるか又は類似するものであるかどうか
・改正「前」の耐用年数省令別表第二に掲げる「設備の種類」の区分が同じであるか
・類似するものであるかどうか
で判断します。
別表第二に掲げる「設備の種類」の区分は、平成20年度の税制改正で390区分から55区分に減少しています。
通達では改正「前」とありますので、390区分で判定する必要があります。
参考リンク、平成20年度法人税関係法令の改正の概要
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei2008/pdf/03.pdf
参考リンク、別表第二 機械及び装置の耐用年数表(新旧資産区分の対照表)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/7142/betsuhyo2.pdf
左が改正後、右が改正前です。右側の「設備の種類」で判断する必要がありますが、細目で判断する必要はありません。
ただし、「設備の種類」の区分が同じでなくても、類似するものであれば圧縮記帳の対象となります。
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