受益者等課税信託が信託の併合や分割で法人課税信託に移行する場合


今回は、受益者等課税信託が信託の併合や分割で法人課税信託に移行する場合を確認してみましょう。

信託の併合や分割で法人課税信託に移行する場合

信託の併合や分割で法人課税信託に移行する場合に、法人課税信託以外の信託が法人課税信託に移行する特例があります。

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信託の併合や分割で法人課税信託に移行する場合

今回確認する規定は、上記の取扱いの例外になります。

規定を確認してみましょう。

8 第六項に規定する信託の併合に係る従前の信託(前項の規定の適用がある場合には、吸収信託分割又は複数新規信託分割により信託財産の一部を移転する信託を含む。)が受益者等課税信託である場合において、第二条第一項第三号に規定する出資があつたものとみなされるもの(課税資産の譲渡等に限る。)があるときは、第六項の規定にかかわらず、当該出資があつたものとみなされるものは同項に規定する信託の併合に係る新たな信託(前項の規定の適用がある場合には、吸収信託分割に係る同項の他の信託又は複数新規信託分割に係る同項の新たな信託)に対して行われたものとみなす。

消費税法施行令第28条第8項、施行日令和6年4月1日

「信託の併合に係る前の信託が受益者課税信託である場合」が1つ目の要件です。前の信託には、一定の吸収信託分割や複数新規信託分割が含まれます。

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吸収信託分割や複数新規信託分割があった場合

2つ目の要件は、課税資産の譲渡等に関する出資があったものとみなされるとき
です。資産ではなく課税資産に限定されていますので、非課税資産は含まれません。

2つの要件を満たす場合に、出資があったものとみなされるものは、新しい信託に対して行われたものとなります。

・吸収信託分割の場合は、他の信託
・複数新規信託分割の場合は、新しい信託
に対して行われたものとなります。

信託の併合の場合は、前の信託が「法人課税信託以外の信託」から「法人課税信託」に移行するため、そのまま適用すると自己に対して出資することになります。そのため、原則(第6項)を適用しないで、新しい信託に対して出資したものとみなす必要があります。

吸収信託分割の場合は、既に存在している信託(他の信託)に出資したものとみなす必要があります。複数新規信託分割の場合は、新しい信託に出資したものとみなす必要があります。

吸収信託分割や複数新規信託分割については、一時的に「吸収分割中信託」が設定された後に、信託の併合があったものとなるからです。

参考規定など

資産の譲渡等に類する行為(みなし出資)

(資産の譲渡等の範囲)
第二条 法第二条第一項第八号に規定する対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
三 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第二十九号ハ(定義)に規定する特定受益証券発行信託又は同条第二十九号の二に規定する法人課税信託(同号ロに掲げる信託を除く。以下この号において「法人課税信託」という。)の委託者がその有する資産(金銭以外の資産に限る。)の信託をした場合における当該資産の移転及び法第十四条第一項の規定により同項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産を有するものとみなされる信託が法人課税信託に該当することとなつた場合につき法人税法第四条の三第九号(受託法人等に関するこの法律の適用)の規定により出資があつたものとみなされるもの(金銭以外の資産につき出資があつたものとみなされるものに限る。)

消費税法施行令第2条第1項第3号、施行日令和6年4月1日

出資したものとみなされるもの

(受託法人等に関するこの法律の適用)
第四条の三 受託法人(法人課税信託の受託者である法人(その受託者が個人である場合にあつては、当該受託者である個人)について、前条の規定により、当該法人課税信託に係る信託資産等が帰属する者としてこの法律の規定を適用する場合における当該受託者である法人をいう。以下この条において同じ。)又は法人課税信託の受益者についてこの法律の規定を適用する場合には、次に定めるところによる。
九 法人課税信託(第二条第二十九号の二ロに掲げる信託を除く。以下この号において同じ。)の委託者がその有する資産の信託をした場合又は第十二条第一項の規定により受益者等がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託が法人課税信託に該当することとなつた場合には、これらの法人課税信託に係る受託法人に対する出資があつたものとみなす。

法人税法第4条の3第9号、施行日令和6年4月1日


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