受託事業者に適用されない消費税の特例


今回は、受託事業者に適用されない消費税の特例を確認してみましょう。

受託事業者に適用されない特例

適用されない特例が列挙されていますので、
先に規定を確認してみましょう。

11 受託事業者については、第九条第四項から第九項まで、第十条から第十二条の四まで、第三十七条第三項から第八項まで、第三十七条の二及び第五十七条から第五十七条の三までの規定は、適用しない。

消費税法第15条第11項、施行日令和6年4月9日

適用されない規定は、次の特例です。

第9条、課税事業者の選択
・第4項、課税事業者を選択する場合
・第5項、課税事業者の選択をやめる場合
・第6項、2年制限
・第7項、3年制限
・第8項、課税事業者の選択届出書が失効する場合
・第9項、政令委任

納税義務の特例
・第10条、相続があつた場合
・第11条、合併があつた場合
・第12条、分割等があつた場合
・第12条の2、新設法人
・第12条の3、特定新規設立法人
・第12条の4、高額特定資産を取得した場合等

第37条、簡易課税制度
・第3項、3年制限
・第4項、届出書の提出がなかったものとなる場合
・第5項、簡易課税制度をやめる場合
・第6項、2年制限
・第7項、簡易課税制度の選択届出書が失効する場合
・第8項、政令委任
第37条の2、災害等があった場合の簡易課税制度の特例

第57条、各種届出書の提出が必要となる場合
第57条の2、インボイス発行事業者の登録等
第57条の3、インボイス発行事業者が亡くなった場合の手続き等

固有事業者と受託事業者は別の人として取り扱われますが、
消費税を納める義務や計算方法を合わせているため、
受託事業者の単独適用が制限されています。

第9条の2の特定期間による判定は適用除外の対象外となっていますが、単独適用はできず、別の例外が設けられています。

インボイス制度の取扱い

適用除外の規定の中に
・第57条の2、インボイス発行事業者の登録等
があります。

受託事業者単独でインボイスの発行はできません。

受託事業者がインボイスを発行するためには、固有事業者としてインボイスを登録する必要があります。登録後は、固有事業者の登録番号をインボイスに記載することになります。

課税期間の短縮・変更と準ずる割合

・課税期間を短縮や変更する場合
・課税売上割合に準ずる割合
については、適用除外に含まれていませんので、
受託事業者ごとに手続きする必要がありますので注意しましょう。

参考規定

受託事業者の納税義務の免除の特例

6 受託事業者のその課税期間の初日において、当該受託事業者に係る法人課税信託の固有事業者が、当該初日の属する当該固有事業者の課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円以下である課税期間に限る。)の初日において適格請求書発行事業者である場合又は当該課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき第九条第四項の規定による届出書の提出により、若しくは第十条から第十二条の四までの規定により消費税を納める義務が免除されない事業者である場合には、当該受託事業者の当該初日の属する課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第九条第一項本文の規定は、適用しない。

消費税法第15条第6項、施行日令和6年4月9日

特定期間における課税売上高の特例

7 固有事業者又は受託事業者に係る第九条の二第一項に規定する特定期間における課税売上高(同条第三項の規定の適用がある場合には、同項に規定する合計額)、第十一条第四項に規定する当該事業年度の基準期間における課税売上高及び第三十条第二項に規定する課税期間における課税売上高については、第九条の二第二項若しくは第三項、第十一条第四項又は第三十条第六項の規定にかかわらず、それぞれこれらの金額に相当するものとして第四項又は第五項の規定に準じて政令で定めるところにより計算した金額とする。

消費税法第15条第7項、施行日令和6年4月9日

消費税法基本通達
4-4-3、受託事業者が交付する適格請求書等
4-4-4、法人課税信託の受託者が提出する届出書等

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