今回は、受託事業者の特定期間における課税売上高と課税期間における課税売上高を確認してみましょう。
受託事業者の計算
先に規定を確認してみましょう。
3 受託事業者に係る法第十五条第七項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる金額の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
消費税法施行令第28条第3項柱書き、施行日令和6年4月1日
「法第15条第7項」を確認してみましょう。
7 固有事業者又は受託事業者に係る第九条の二第一項に規定する特定期間における課税売上高(同条第三項の規定の適用がある場合には、同項に規定する合計額)、第十一条第四項に規定する当該事業年度の基準期間における課税売上高及び第三十条第二項に規定する課税期間における課税売上高については、第九条の二第二項若しくは第三項、第十一条第四項又は第三十条第六項の規定にかかわらず、それぞれこれらの金額に相当するものとして第四項又は第五項の規定に準じて政令で定めるところにより計算した金額とする。
消費税法第15条第7項、施行日令和6年4月1日
法人課税信託の固有事業者や受託事業者については、原則の方法ではなく、施行令で規定されている方法により、
・特定期間における課税売上高(納税義務の判定)
・事業年度の基準期間における課税売上高(合併による納税義務の判定)
・課税期間における課税売上高(個別対応方式等の判定)
を計算する必要があります。
参考情報、固有事業者の計算
・固有事業者の特定期間における課税売上高
・過去に新設合併があった場合の固有事業者の基準期間における課税売上高
・固有事業者の課税期間における課税売上高
固有事業者の計算上、固有事業者の金額だけではなく、受託事業者の金額をプラスする必要があります。
受託事業者の計算はどうなるのでしょうか?
特定期間における課税売上高(納税義務の判定)
先に規定を確認してみましょう。
一 受託事業者のその事業年度に係る特定期間における課税売上高(法第九条の二第一項に規定する特定期間における課税売上高をいう。以下この号において同じ。) 当該受託事業者のその事業年度開始の日の属する当該受託事業者に係る法人課税信託の固有事業者の前条第二項第一号に規定する固有事業年度等の特定期間における課税売上高として同号(同条第三項第二号の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により計算した金額
消費税法施行令第28条第3項第1号、施行日令和6年4月1日
1号には、特定期間における課税売上高の計算が規定されています。
受託事業者の事業年度「開始」の日の属する
固有事業者の前条(第27条)第2項第1号に規定する
固有事業年度等の特定期間における課税売上高として
同号=第1号(注1)の規定により計算した金額
注1、同条=第27条第3項第2号により読み替えて適用する場合を含む。
(受託者の変更などがあった場合の取扱い)
固有事業者の計算と同じ計算規定を適用することになります。
課税期間における課税売上高(個別対応方式等の判定)
先に規定を確認してみましょう。
二 受託事業者の課税期間における課税売上高(法第三十条第二項に規定する課税期間における課税売上高をいう。以下この号において同じ。) 当該受託事業者の当該課税期間の末日の属する当該受託事業者に係る法人課税信託の固有事業者の課税期間の前課税期間における課税売上高(当該受託事業者の課税期間の末日と当該固有事業者の課税期間の末日が同日である場合には、当該固有事業者の当該課税期間における課税売上高)として前条第二項第三号(同条第三項第三号の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により計算した金額
消費税法施行令第28条第3項第2号、施行日令和6年4月1日
2号には、課税期間における課税売上高の計算が規定されています。
受託事業者の課税期間の「末日」の属する
固有事業者の課税期間の「前課税期間」における課税売上高(注1)
として前条=第27条第2項第3号(注2)の規定により計算した金額
注1、受託事業者と固有事業者の課税期間の末日が同日の場合は、固有事業者の「課税期間」における課税売上高(前課税期間で計算不要)。
注2、同条=第27条第3項第3号により読み替えて適用する場合を含む。
(受託者の変更などがあった場合の取扱い)
固有事業者の計算と同じ計算規定を適用することになります。
受託事業者と固有事業者の課税期間が異なる場合、受託事業者の課税期間の末日時点で固有事業者の課税売上高が確定していないため、1つ前の期間(前課税期間)に戻る必要があります。
事業年度の基準期間における課税売上高(合併による納税義務の判定)
今回確認した規定の中には、
・基準期間における課税売上高(合併による納税義務の判定)
の取扱いが規定されていません。
固有事業者が被合併法人や合併法人に該当する場合は、施行令第27条第4項の読替規定により基準期間における課税売上高を計算します。
(固有事業者の金額に受託事業者の金額をプラスする。)
信託の併合があった場合、法人の合併とみなされますが、納税義務の判定の規定については、合併とみなす規定に含まれていません。
(受託事業者は被合併法人にも合併法人にも該当しない。)
受託事業者が被合併法人や合併法人として取り扱われることがないため、規定が設けられていないということなのでしょう。
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